2017 Fiscal Year Annual Research Report
地域語りの現在と歴史経験―旧炭鉱地域における「語り部」生成の民俗学
Project/Area Number |
15J07759
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川松 あかり 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 語り部 / 語り継ぎ / 記憶 / 記憶の継承 / 口承性 / 民俗学 / 旧産炭地 / 筑豊炭田 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究目的は、採用2年目に行ったフィールド調査のデータを整理・分析し、先行研究を参照しながら理論的な再検討を行うことであった。 分析の枠組み構築に関しては、新聞記事データベースの分析を通して現代社会に存する語り部を分析する民俗学的な視点を構築し、論文として東京大学大学院総合文化研究科の『超域文化科学紀要』23号に投稿した(現在査読中)。 昨年度のフィールド調査では、炭鉱をいかに語り継ぐべきかを模索しながら現在まさに新たな語り継ぎの主体(=本研究が定義する〈語り部〉)に成りつつあるような人々が多く見出され、さらに、研究者自身も炭鉱を語り継ぐ新たな主体となることを地元の人々やマスメディアから求められるという事態が発生した。今年度は、2カ月に1度程度筑豊地域でのフィールド調査を行い、これら現在進行形の新たな実践について引き続き調査を行った。ここでは、研究者自身が筑豊地域において語り継ぎの会を主催するアクションリサーチも用いて、炭鉱を語り継ぐ主体(〈語り部〉)の生成する現場を、研究者自身も分析の対象としながら再帰的に考察していった。このような新たな実践は、筑豊地域において1950年代末~1960年代にかけて盛んに行われたサークル運動や記録文学作家の実践と関連付けることができる。さらに、研究者と筑豊において語り継ぎの主体となる地域住民は共に、炭鉱の歴史を訪ね歩き、聴き、理解し、自らの言葉で語り直そうとする点で、〈民俗学的実践の担い手〉と見なすことができる。以上2つの視点から、2回小規模な研究会での調査成果の発表を行い(12月・3月)、2月には国際日本文化研究センターにおける共同研究「運動としての大衆文化」でも口頭発表を行って、他の研究者からの助言や批判を受けながら調査方法と考察枠組みの修正を行った。この成果は現在論文として執筆中であり、今後博士論文として完成させていく予定である。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
東京大学の「部局や研究所が開催する多彩なイベントの情報を集約し発信してい」るという東京大学公式の情報サイト「東大ナビ(UTokyo navi)」のウェブページ上に、大学公認の学生団体“UT-Life”から研究代表者がインタビュー取材を受けた記事が、掲載された。
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