2016 Fiscal Year Annual Research Report
河川水位・氾濫面積のデータ同化手法の開発及びマルチスケール洪水警報システムの構築
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15J10456
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳩野 美佐子 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 土砂動態 / 陸域モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は陸面過程モデルMATSIRO[Takata et al., 2003]と河川氾濫モデルCaMa-Flood[Yamazaki et al., 2011]の結合及び土砂動態モデルの開発を重点的に進めた。 MATSIROとCaMa-Floodの結合には昨年度まで気候モデルと河川氾濫モデルの結合に用いていたカプラーJcup[Arakawa et al., 2011]を用いた。カプラー及び新たに開発された入出力モジュールを用いてIntegrated Land Simulatorという統合陸モデルフレームワークの構築を行っている。境界データなどの変更が容易な設計になっているため、解像度変換やCaMa-Floodの単位集水域に合わせた水文シミュレーションが柔軟に実験可能となった。 土砂動態モデルは土砂生産、輸送、堆積のプロセスをモデル化している。土砂輸送では水とともに流下する浮遊砂と河床付近を転落・滑動しながら移動する掃流砂の2種類を考慮している。浮遊砂・掃流砂のモデル内の貯留量は独立しているが、巻き上げ・沈降をプロセスとして導入することにより交換は可能としている。それぞれの土砂の種類の貯留量変化はそれぞれの流出・流入、巻き上げ・沈降、土砂生産の流入により構成される。 GSWP3を入力値としてMATSIROから出力される流出量を用いて1980年から1990年について計算を行った。USGSは浮遊土砂濃度(SS)を提供しているため、モデル出力の浮遊砂貯留量及び河道貯留量を用いてSSを算出した。これにより時系列で観測値との比較が可能となった。観測値及びモデル出力値の10年平均値は比較的類似したオーダーを示している(図2)。観測データに登録されている土砂粒径分布やそれぞれのプロセスの寄与度をさらに解析し、構築したモデルの更なる改善を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
洪水評価に大きな影響を与えうる土砂動態のモデル化に今年度は取り組んだ。洪水時の土砂の動きを適切に表現することにより洪水シミュレーションの精度向上に貢献すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目ではこれまでの成果をまとめて論文化すると同時に、開発している土砂動態モデルを陸面過程モデルや河川モデルと結合した水文シミュレーションに取り組む。
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Research Products
(2 results)