2015 Fiscal Year Annual Research Report
次世代森林動態シミュレータに立脚した林業経済分析と生物多様性評価
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15J10614
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
辰巳 晋一 横浜国立大学, 環境情報研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 森林計画 / 持続的林業 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、多くの国で森林法が改正され、林業地において木材生産だけでなく生物多様性保全にも配慮することが求められるようになってきた。その方法として、近自然型施業が着目されている。同施業では、従来すべて持ちだされていた立木や倒木をあえて施業地に残すことで、生物の住処を確保する。しかしながら、それに伴う経済的損失(あるいは便益)および生物多様性保全効果は十分に定量化されていない。 初年度は、主に近自然型施業の生物多様性保全評価のためのデータ収集を行った。4月と10月に、近自然型施業が実施されている試験地において、93ヶ所×2期(合計186サンプル)の土壌をサンプリングした。土壌含水率、土壌pH、および無機態窒素量の環境変数を測定した。土壌中に含まれる真菌類のDNA抽出およびPCRを京都大学生態学研究センターにて行った。また、樹木の成長量を周辺木との競争関係から推定する統計モデリングを行い、その成果を国際学術誌に発表した。日本森林計画学会より、2015年度黒岩菊郎記念研究奨励賞をいただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度に予定していたデータ(土壌含水率、土壌pH、および無機態窒素量の環境変数)とDNAサンプルの収集・分析をすることができた。また、論文を一本投稿をすることができた。2015年度 森林計画学会黒岩菊郎記念研究奨励賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、近自然型施業の(1)生物多様性保全評価と(2)経済性評価を行う。5月から9月まで、保残伐施業が行われている試験地に渡航し、野外調査を行う。群集データと土壌コアを収集する。草本類の機能形質データ(葉面積や窒素-炭素比など)の収集を行う。経済性(木材生産性)に必要な、樹木の成長データを収集する。帰国後、土壌微生物のDNA解析を行う。冬期に調査・実験結果を取りまとめる。土地利用タイプ間での機能的多様性の比較検定を行う。野外調査結果を使って、生物多様性保全に伴う経済性の変化を分析する。論文執筆と学会発表を行う。次年度に必要となる経費は初年度と同様、海外渡航費、野外調査費、DNA解析費、DNA解析期間中の滞在費、学会の参加旅費、論文の英文校閲費である。統計解析についてはフリーソフト(R、Fragstats)を用いるため、費用は発生しない。
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Research Products
(2 results)