2016 Fiscal Year Annual Research Report
次世代森林動態シミュレータに立脚した林業経済分析と生物多様性評価
Project/Area Number |
15J10614
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
辰巳 晋一 横浜国立大学, 環境情報研究院, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | 森林計画 / 持続的林業 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近自然型林業による生物多様性保全効果と、それに伴う経済的損失(あるいは便益)を定量化することである。近年、多くの国や地域において、林業を行う際に生物多様性にも配慮することが求められるようになってきた。その方法として、近自然型林業が注目されている。近自然型林業では、従来すべて持ち出されていた立木や倒木をあえて施業地に残すことで、生物の棲家を確保する。しかしながら、それに伴う生物多様性や経済収支への影響は明らかにされていない。 2年目の今年は、主に野外データの収集と植生群集解析を行った。近自然型林業が実施されている実験林において、調査プロットを約200か所設置し、植生データ(維管束植物、蘚苔類、地衣類)を収集した。また、周辺樹木の直径、樹種、プロットまでの距離を測定した。これらのデータを使って、プロットの植生群集が、周辺樹木の単木情報によって、どの程度説明できるかを統計モデリングによって明らかにした。また、実験林において2000年から2010年まで集められてきた植生データ(n=1080)を使って、多変量解析に基づく群集集合則の分析を行った。その結果、近自然型林業が行われている林分では、天然林よりも高いα多様性(生物種数)が観察され、また、天然林と同等のβ多様性(林分内の種組成のばらつき)が維持されていることが分かった。この成果を、学会にて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたデータを収集した。統計解析を進めた。得られた結果を学会発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、統計モデリングによって得られた成果、および生物多様性と林業収支の長期関係を整理し、論文にまとめる。
|
Research Products
(1 results)