2016 Fiscal Year Annual Research Report
多核金属中心のナノ炭素材料への導入による高効率かつ高耐久な電極触媒の創成
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15J10629
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
越川 裕幸 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ポストリチウムイオン電池 / 金属リチウム / リチウム析出・溶解 / 充放電効率 / 界面制御 / 電解液中水分含有量 / イオン輸送の均一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の実績として、以下の2つが挙げられます。 まずは、前年度のメタン酸化分解触媒の仕事を完了させ、査読付英文学術雑誌へ掲載されました。本年度は、触媒耐久性評価のために同一触媒上での繰り返し試験を行いました。初サイクル後に30%ほど反応速度が低下しましたが、以降数サイクルは同等の反応速度が維持されました。 次に、計画として掲げていた"エネルギー関連の重要な他反応系への展開"について、これまでの電極触媒材料研究の知見を活かし、電池材料研究を開始しました。高容量かつ平衡電位の低い金属リチウムは、複数の次世代電池への搭載が期待される有望な負極材料であります。しかし金属リチウムの実用化に向け、充放電反応(リチウム析出・溶解反応)効率の低さが課題であります。そこで、金属リチウムー電解質界面制御により、リチウムイオン輸送を均一化することで、充放電効率向上を目指しました。 水分は電解液中に容易に混入し、一般的に電池寿命を低下させることが知られています。しかし近年、適量水分が金属リチウム極の充放電効率を向上させる例が報告されています。既報では、界面被膜の組成変化による議論がされてきました。本研究では加えてイオン輸送の均一性の観点からも検証を試みました。 金属リチウムに対する安定性に優れるエーテル系電解液中に適量の水分を添加することで、充放電効率が50%から80%へと大きく上昇することを見出しました。適量の水分存在下では、イオン伝導・弾性に優れる酸化リチウムを多く含む層が界面に形成し、また電子顕微鏡観察により、リチウム析出の均一化が確認されました。一方で、過剰量の水分存在下では、界面にイオン伝導抵抗の高い水酸化リチウムが多く形成し、金属リチウムの偏析が確認されました。この成果は、金属リチウムを搭載した電池の設計基準に新たな知見を提供するものであります。本研究も査読付英文学術雑誌へ掲載されました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に挙げていた"触媒設計指針の他用途展開"について、環境保護の観点から重要なメタン酸化分解触媒の創成として一つの成果にまとまり、査読付英文学術雑誌へ掲載されました。またこれまでの触媒研究の知見を活かし、電池材料研究にも取り組みました。有望な次世代電池材料である金属リチウムについて、その充放電効率向上に成功しました。充放電効率向上のメカニズム解明も行い、査読付英文学術雑誌へ掲載されました。 以上より、期待通りの十分な成果を挙げられていると考えます。
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Strategy for Future Research Activity |
金属リチウム電極の実用化に向け、界面制御による充放電効率向上の研究を引き続き行います。実用化に向け、充放電効率をさらに向上させる必要があります。そこで金属リチウムを用いた固体電池研究に取り組みます。金属リチウムに対し安定な固体電解質を用いることで、従来の有機電解液系で見られた、副反応に伴う界面層形成が抑えられます。ここに適切な界面制御を施すことで、充放電効率の飛躍的向上が期待されます。
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