2015 Fiscal Year Annual Research Report
機能性材料の開発を加速させる新規RNAアプタマー修飾医用材料の創出
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15J10771
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
森下 裕貴 国立医薬品食品衛生研究所, 医療機器部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | アプタマー / RNA / 血管内皮細胞増殖因子 / 医用材料 / 試験管内選択法 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、VEGF捕捉型RNAアプタマーの選定と最適化を実施した。 まず、VEGFを標的とした10ラウンドの試験管内選択法により、ランダム配列RNAプールから、VEGFと結合活性を有するRNAアプタマー集団を抽出した。上記で抽出したRNAアプタマー集団から、16種のRNAアプタマー候補を選定し、表面プラズモン共鳴法により、VEGFの結合能を評価した。その結果、全ての候補RNAアプタマーが、ランダム配列RNAアプタマーと比較して、VEGFに高い結合性を有することが確認された。 次に、16種のRNAアプタマー候補が、VEGF-VEGF受容体(VEGFR1、及びVEGFR2)間の相互作用を阻害せず、VEGFを捕捉可能か否かを、表面プラズモン共鳴法により評価した。その結果、RNAアプタマー/ VEGF/VEGFR1複合体、及びRNAアプタマー/ VEGF/VEGFR2複合体を形成可能であるRNAアプタマーを1種、VEGF-VEGF受容体相互作用に対する阻害活性が弱いRNAアプタマーを5種同定することに成功した。 これら6種のRNAアプタマーについて、ヒト臍帯静脈内皮細胞を用い、in vitroにおける、VEGFの活性保持能を評価した。ヒト臍帯静脈内皮細胞に、各RNAアプタマーとVEGFの混合溶液を添加した際のERKのリン酸化を指標に、VEGFのVEGFR2を介したシグナル伝達をウェスタンブロットにより評価した。その結果、VEGF単独添加時と比較して、VEGFと共添加してもERKのリン酸化を減弱させないRNAアプタマーを4種同定することに成功した。 以上、今年度の研究により、VEGF-VEGF受容体間の相互作用を阻害せず、VEGFを捕捉するRNAアプタマーの選定に成功した。現在、選定したRNAアプタマーの短鎖化を行い、最適化を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は、生理活性を保持した状態で増殖因子の一つである血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を特異的に捕捉するRNAアプタマーを利用した医用材料を開発することである。本研究の目的を達成するためには、VEGF捕捉型RNAアプタマーの選定・最適化、同RNAアプタマーを修飾した材料の作製、作製した材料のin vitro及びin vivoにおける安全性・有効性評価を行う必要がある。 当該年度は、VEGF捕捉型RNAアプタマーの選定・最適化を実施予定であった。 年度終了時点で、RNAアプタマーの選定に成功し、最適化を進めている段階であり、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、おおむね当初の予定通り研究が進展したことから、次年度も当初の計画通り、RNAアプタマーを修飾した材料の作製と、同材料の機能評価を実施予定である。
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Research Products
(1 results)