2015 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙用MPDスラスタのプラズマ電磁流体・熱連成モデルの構築と実機設計への展開
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15J10821
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川﨑 央 東京工業大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 電気推進 / 宇宙推進 / プラズマ / 電磁流体 / 電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,MPD(magnetoplasmadynamic)スラスタ内でのプラズマ化した推進剤と電極の相互作用を詳細に再現するための静電シースモデルを,数値シミュレーションモデルに取り入れ,プラズマの電磁流体モデルおよび電極の熱モデルと接続,連成することで,実験的検討には非常に大規模な真空設備が必要となってしまう定常作動MPDスラスタを,数値的にもリアリスティックに取り扱うための手法を初めて確立した.数値シミュレーション結果と既往の実験結果との比較検討から,本研究で構築したシミュレーションモデル・手法が妥当であることが確認され,これを踏まえて,スラスタ内の放電電流経路,電極熱負荷の成り立ちに関する詳細な検討を行った.更に,スラスタの熱設計上重要となる陰極の寸法や冷却量といった設計指針に関して留意点を明らかとし,工学上・工業上重要な成果を残した.これらの成果を,International Electric Propulsion Conference,Joint Propulsion Conferenceをはじめとする国内外の学術会議で発表し,また,電気学会論文誌に2編の論文を投稿し(掲載済み),加えてIEEE (Institute of Electrical and Electronic Engineers) Transaction of Plasma Scienceにも1編の論文を投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現実の定常作動スラスタの特徴を精度よく捉えるためのモデル構築が,当初想定していたよりも順調であったため.学会発表・論文発表も当初の予定よりも多く実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の予定通り検討を推進する.具体的には,スラスタの定常作動状態をより小規模なダウンスケールモデルを使って実験的に検討し,本研究で構築したモデルおよび設計指針の更なる妥当性確認を行う.また,これを踏まえ,地上実験では直接検討するのが容易ではない一方で非常に良好な性能特性を示す,大電力な領域に対する,設計検討をより詳細に行う.
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