2015 Fiscal Year Annual Research Report
無保護アミノ酸を用いた環状ペプチドの連続的マイクロフロー合成法の開発
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15J11065
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
御舩 悠人 東京工業大学, 大学院理工学研究科工学系, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 環状ペプチド / アミノ酸 / マイクロフローリアクター / アミド化 / 光反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、無保護のアミノ酸を出発原料として用いたN-カルボキシアミノ酸無水物(NCA)の調製方法について、フェニルアラニンをモデル基質として用い、マイクロフローリアクターを用いる際の混合効率や活性化試薬であるトリホスゲンの当量、反応溶媒、反応時間、反応温度等を網羅的に検討した。その結果、フェニルアラニンのNCAを良好な収率で調製できる反応条件を見出した。なお、条件検討では不安定なNCAとイソプロピルアミンを反応させたアミド体の収率を基に評価を行ったが、最適条件においてはNCAの単離にも成功し、反応活性種がNCAであることを確認した。 また、難溶性の無保護アミノ酸の代わりに、有機溶媒に可溶なN-フェノキシカルボニルアミノ酸を用いて、酸性条件下、マイクロフローリアクター内で加熱してNCAを調製する手法も開発した。本手法では複数のアミノ酸でNCAを調製できることを確認した。 さらに、環状ペプチド合成法の開発に向けて、非光照射時にはカルボン酸の保護基、光照射時には脱離基として機能する7-ニトロインドリン類縁体を選定し、アミノ酸への導入と光照射による分子間アミド化反応、非光照射下におけるペプチド鎖の伸長を検討した。その結果、5-ブロモ-7-ニトロインドリンを用いたときに、アミノ酸への導入と光照射によるアミド化反応、ペプチド鎖の伸長が可能であることを見出した。今後はケミカルプローブに利用されている環状RGDペプチドを標的の環状ペプチドとし、マクロラクタム化の前駆体であるC末端に光活性化基をもつ鎖状ペプチドの合成を行ったのち、マクロラクタム化の反応条件を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NCA調製/アミド化連続反応によるペプチド合成法の開発については、反応条件を網羅的に検討することでNCA調製法の確立に成功すると共に、別法によるNCA調製方法も確立し、さらにその後のアミド化反応の検討にも着手しており、おおむね順当に進展している。光活性化基を用いた環化反応の開発については、モデル基質を用いた十分な検討ができており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、別途調製したNCAを用いてアミド化反応を検討し、その後本年度に開発したNCA調製法と組み合わせてNCA調製/アミド化連続反応によるジペプチド合成法を開発する。最適条件における基質適用範囲の調査を行ったのち、ジペプチド合成法を連続的に繰り返すことによる鎖状ペプチド合成法を開発する。 また、C末端に光活性化基をもつ鎖状ペプチドを用いたマクロラクタム化の検討を推進し、得られた最適条件と前述の鎖状ペプチド合成法を組み合わせ、環状ペプチドの連続的マイクロフロー合成法の開発を目指す。 研究計画に遅れが発生し、環状ペプチド合成法の開発が困難な場合、NCAを用いたペプチド合成法と光活性化基を用いた環状ペプチド合成法をそれぞれ独立に開発し、結果を学会誌等で発表する。
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