2018 Fiscal Year Research-status Report
グローバル・ガバナンス・プラットフォームの動態――グローバル政治経営学に向けて
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15K03315
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三浦 聡 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (10339202)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グローバル・ガバナンス / トランスナショナル・ガバナンス / ガバナンス・モード / プラットフォーム / 持続可能な開発 / 国連グローバル・コンパクト |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究成果】 本年度の主な研究成果として、"Can the Power of Platforms be Harnessed for Governance?"(国際共著論文)を国際ジャーナルに投稿したことが挙げられる。 【研究内容】 ガバナンスのためのプラットフォームの研究は、様々な学術領域で言わばタコツボ的に萌芽・発展している。その事例は、ローカル(リビングラボ、スマートシティなど)からグローバル(国連グローバル・コンパクト、国連防災グローバル・プラットフォームなど)に至る様々なレベルに及び、対話フォーラムだけでなく、クラウドソーシングを活用するITプラットフォーム(暴動や災害のマッピングに活用される「ウシャヒディ」など)も含む。共著論文の目的は、多様な研究と事例を「ガバナンス・プラットフォーム」として概念化し、その分析枠組と類型を提示した上で、ガバナンス・モードの1つとしてのプラットフォームの可能性と課題を探ることである。 【研究の意義・重要性】 共著論文は、本研究課題の「グローバル・ガバナンス・プラットフォーム」を体系的に議論するための概念的・類型的な基礎を提供するものである。管見の限り、ガバナンス・プラットフォームに関する学問領域を横断した包括的な研究は、世界的にも先駆的な試みである。学際性・学融合性に関連して、共著論文では経営学におけるプラットフォーム論も参照し、とくに"architectural leverage"の概念を参照した。同論文は、政治学・行政学におけるガバナンス論と経営学におけるプラットフォーム論との融合を試みる点で、本研究課題にある「グローバル政治経営学に向けて」の第一歩を記すものと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・本研究課題の基本的分析枠組をまとめた「持続可能な開発のトランスナショナル・ガバナンス──権威の多元化と新たなガバナンス・モード」を刊行することができた。 ・「責任ある経営教育原則(PRME)」の"2017 Global Forum for Responsible Management Education--10 Years of PRME"に参加し、同Forumの中核チームの一員として、その準備段階からフォーラムの実施に至るまでの段階をつぶさに観察することができた。PRMEは、本研究課題の主な事例である国連グローバル・コンパクトのスピンオフ・イニシアティブである。 ・本研究課題を基課題とする「国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)」を獲得し、2017年9月から2018年7月までカリフォルニア大学バークレー校にて国際共同研究を実施することができた(これは当初の計画にはない進展である)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上述の国際共著論文を修正し、同じ国際ジャーナルに再投稿する。アクセプトされなかった場合には、別の国際ジャーナルに投稿する。加えて、グローバル・ガバナンス・プラットフォームに関する単著論文の執筆を継続し、投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究を基課題として、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)を獲得し、本研究課題に関連した経費を当該基金によって賄うことができたため。
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