2016 Fiscal Year Research-status Report
フレキシブル熱電変換素子用ソフトマテリアルの分子設計指針の探索
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15K05609
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山口 勲 島根大学, 総合理工学研究科, 教授 (00272708)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 熱電変換 / ゼーベック係数 / 電気伝導度 / キャリア / ドーピング / 導電性高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高いゼーベック係数を電気伝導度を示すp型およびn型導電性高分子を適切な分子設計により合成し、それらの熱電変換材料としての機能を評価して、実用レベルのフレキシブル熱電変換素子用の基盤材料を創製するための分子設計指針を確立することを目的としている。 熱電変換素子の性能は、性能指数(ZT)=S2σT/k (S: ゼーベック係数, σ: 電気伝導度, T: 温度, k: 熱伝導率)で決定される。熱電変換材料として実用に供されるには、ZT=1以上が必要である。ここで、正孔がキャリアの場合、ゼーベック係数はSはキャリア濃度(n)の1乗に反比例する。したがって、高い性能指数(ZT)を示すソフトマテリアルを創製するには、ドーピングによるキャリア発生量を制御して、ゼーベック係数と電気伝導度が最高になるよう最適化することが鍵となる。 固体状態で規則的なスタッキング構造を形成するπ共役高分子は、ドーピング時に、キャリアが高分子主鎖(1次元)方向だけではなく、スタッキング(2次元)方向にも移動し、高い電気伝導度を示すことがあることが知られている。 平成28年度は、ジアルコキシナフタレンユニットと2,1,3-ベンズチアジアゾ-ルユニットから成るp型π共役高分子を合成した。これらのπ共役高分子は、アルコキシ側鎖のファンデルワールス相互作用により、固体状態で規則的なスタッキング構造を形成し、高分子の諸物性に影響を及ぼすことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27,28年度の研究により、p型導電性高分子のドーピングレベル(キャリア濃度)の制御や規則的自己集合構造を形成させることに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
p型導電体の開発については、ほぼ目標を達成できた。今年度は、当初の目標の一つである、空気中で安定なn型導電体の開発と、このn型導電体とこれまでに開発したp型導電体を利用した熱電変換素子の試作を目指す。
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった物品を別の経費で購入したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、消耗品の購入に使用する予定。
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