2016 Fiscal Year Research-status Report
発光タンパク質のクロモフォア構造に関する生物有機化学的研究
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15K07413
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久世 雅樹 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (40335013)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生物発光 / 発光タンパク / フォラシン / デヒドロセレンテラジン / 化学合成 / 人工基質 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き、発光タンパク質(フォラシン)の発光を司るクロモフォアに関する詳細な化学構造と、発光開始段階において活性酸素種(ROS) が関与する仕組み(分子機構)の解明を目指し研究に取り組んだ。当該年度はフォラシンの活性部位の分光学的解析を目指し、発光タンパクのアポ型の調製と人工基質の化学合成について検討した。 市販のフォラシンには天然基質がすでに取り込まれているためにアポ型へ変換が難しいという問題点があった。しかしながら、昆虫細胞を用いた発現のための遺伝子を得ることができたので、アポタンパクの遺伝子発現による調製に目途がついた。 ついで人工基質の合成に取り掛かった。基質であるDCLにヘテロ原子を組み込んだ新規誘導体の合成に成功し、天然型DCLより高輝度に発光する人工基質が完成した。共通の前駆体から様々な誘導体が合成できたので、構造活性相関を調べた。その結果、導入するヘテロ原子の効果は隣接する芳香環上のフッ素原子の数によってコントロールできることが判明した。 さらに、フォラシンの活性部位解析のためのプローブ合成にも取り組んだ。活性部位に取り込まれるものの、発光活性を示さない人工基質を合成した。これをフォラシンに加えたところ、その発光活性が低下した。これは天然基質とこのプローブが交換していることを示しており、この化合物を利用してフォラシンの活性部位を分光学的に解析することが可能になった。フォラシン活性部位の解析のために解決しなければならなかった問題をクリアすることができたことから、以上の成果には今後の研究の進展において重要な意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発光タンパク(フォラシン)のクロモフォア構造の解析のためには、活性部位に関する分光学的測定が欠かせない。さらに、その解析を可能にする基質やプローブが必要になる。様々な人工基質やプローブを合成することに成功し、構造活性相関に関するデータも得られたので、概ね研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アポタンパクの調製と人工基質を用いてフォラシンを再構成し、その発光活性を調べることが重要になる。遺伝子発現、人工基質の各種合成を達成し、活性部位に関する分光学的解析を目指す。
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Research Products
(5 results)