2015 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を目指した直腸癌術前放射線化学療法感受性における骨髄由来抑制細胞の意義
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15K10148
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
加藤 弘 北里大学, 医学部, 助教 (20337950)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 直腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
H17年からH22年までの術前放射線化学療法を施行したstage II/III進行直腸癌113症例の臨床病理学的解析を行い,術前放射線化学療法の有効性を再確認した.これらの症例で治療前後の末梢血球数をあわせて解析した結果,術前放射線化学療法前の白血球数が多い症例ほど予後が良い結果となった.分画では顆粒球分画が多い症例は予後が良好であり,単球数が多い症例は予後が悪い傾向が認められた.しかしながら,末梢血球数と放射線化学療法の感受性とは明らかな相関はみとめなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のように,H17年からH22年までの術前放射線化学療法を施行したstage II/III進行直腸癌症例の臨床病理学的解析の結果,術前放射線化学療法の有効性を再確認できた.まず,これらの症例で治療前後の末梢血球数をあわせて解析した結果,術前放射線化学療法前の白血球数が多い症例ほど予後が良い結果となった.分画では顆粒球分画が多い症例は予後が良好であり,単球数が多い症例は予後が悪い傾向が認められた.しかしながら,末梢血球数と放射線化学療法の感受性とは明らかな相関はみとめなかった.現在,術前放射線化学療法後の末梢血球数との相関や,術前放射線化学療法前後の血球数の変化も含めて解析を続けている. 実際に原発巣に動員されている免疫担当細胞の術前放射線化学療法感受性への関わりを解明するために,我々はまず骨髄由来抑制細胞MDSCおよび腫瘍関連マクロファージTAMに注目した.上記症例の術前放射線化学療法前後の生検組織および手術検体の原発巣に動員されている骨髄由来抑制細胞MDSCおよび腫瘍関連マクロファージTAMをそれぞれCD33およびCD163による免疫染色で評価している. 本来であれば後ろ向きの免疫染色による解析は終了している予定であるが、H28年度前半まで要する見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
上記免疫染色で術前放射線化学療法施行113例の治療前後の生検組織,手術検体におけるCD33陽性細胞・CD163陽性細胞の浸潤と治療効果・予後を後ろ向きに評価する.治療後生検組織・手術検体に関しては,ypCR症例では原発巣の免疫染色ができないので,特に効果が得られたypPR症例とypNC/PD症例を比較することになる.予後との関連に関しては113例を使用するが,臨床病理学的因子との関連解析については必要に応じてH22年以降の症例を追加する. 上記後ろ向き解析結果を参考に,本学倫理委員会の承認のもと前向き研究として,患者血液検体および組織新鮮検体を採取し,免疫染色に加え,CD45+CD11b+CD33+(HLA-DR-Lin-)等の免疫細胞プロファイルをFACSで解析する.術前放射線化学療法開始によって,MDSC動員が誘導される症例があることが予想されるため,血液検体に関しては経時的に免疫細胞を解析する.またCXCR2のMDSC上の発現も経時的に評価する.血清・手術検体においては,IL-6,CXCL1/2/8等の腫瘍進展およびMDSCと関連が深い炎症性サイトカインをELISAで測定する.放射線化学療法感受性群と耐性群の遺伝子発現プロファイルを比較するため手術検体からRNAを抽出する.以上から,血中MDSCと術前放射線化学療法感受性との関連を解析するとともに,進行直腸癌におけるMDSCの臨床病理学的意義を評価する.
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Research Products
(3 results)