2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K19130
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大東 いずみ 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 講師 (00596588)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 胸腺 / 獲得免疫 / 胸腺上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺上皮細胞は皮質および髄質上皮細胞に分類され、T 細胞の抗原認識特異的レパトアの形成を担っている。両上皮細胞は共通の前駆細胞から分岐するが、分岐を担う分子メカニズムは明らかになっていない。本研究では、皮質上皮細胞特異的に発現するβ5tの転写制御メカニズムを明らかにすることにより、上皮細胞分岐の分子メカニズム解明を目指した。 先行研究において、β5tゲノム領域下流にEGFPをつないだレポータープラスミドと転写因子Foxn1を細胞株に共発現するとEGFP発現が正に制御されたことから、β5tゲノム上のFoxn1結合配列を検索した。β5tゲノム上には、Foxn1結合コア配列を含む領域が18カ所存在し、その中でもβ5t翻訳領域直近の領域(site13)は、これまで報告されているFoxn1結合コンセンサス配列と相同性が最も高く、いくつかの動物種間で保存されていた。細胞株を用いたDNA免疫沈降アッセイを実施したところ、Foxn1はsite13に結合するが、site13のFoxn1結合コア配列に1塩基変異を挿入するとFoxn1の結合は抑制された。さらに、レポーターアッセイにおいて、Foxn1によるレポータ遺伝子の発現は、site13のFoxn1結合コア配列に変異を入れることにより顕著に低下した。 in vitro実験で得られた結果をさらに検証するために、site13に変異を挿入したマウスを作製した。変異マウスの皮質上皮細胞におけるβ5tの発現について検討したところ、野生型マウスやヘテロマウスと比較して有意に低下していた。また皮質上皮細胞におけるβ5tの発現低下にともない、胸腺でのCD8陽性T細胞の生成が変異マウスで減少していた。これらの結果は、Foxn1は胸腺皮質上皮細胞におけるβ5tの発現を正に制御し、正常な免疫システムの維持に重要であることを示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が当初計画した通りに進んでいる。特にFoxn1によるβ5tの発現制御メカニズムに関しては、今年度の研究計画であったin vitro実験に加え、次年度の計画であるin vivo実験の一部も今年度実施し、当初の見込み以上の結果が得られているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
Foxn1以外の転写因子によるβ5tの発現制御、ならびに上皮細胞分岐の制御について検討するために、皮質上皮細胞と髄質上皮細胞での遺伝子発現を比較検討したマイクロアレイ解析結果から発現差分がみられる転写因子のを絞り込み、欠損マウス胸腺でのβ5tの発現、および上皮細胞分化を検討する。すでに、いくつかの転写因子については欠損マウスの胸腺を入手し実験を進めている。 また、胸腺上皮細胞を対象とするクロマチン修飾解析から、β5tをはじめとする皮質上皮細胞や髄質上皮細胞を特徴づける遺伝子のエンハンサーを予測し、エンハンサー領域に結合する転写因子の同定をおこなうことにより、胸腺上皮細胞の分化分岐を担う分子メカニズムの解明を目指す。
|
Causes of Carryover |
研究の進捗にともない、購入する必要のない消耗品が生じたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究計画のひとつであるクロマチン修飾解析に必要な試薬の購入に使用する。
|
Research Products
(6 results)
-
[Journal Article] Dynamic spatio-temporal contribution of single b5t+ cortical epithelial precursors to the thymus medulla2016
Author(s)
Mayer CE, Zuklys S, Zhanybekova S, Ohigashi I, Teh HY, Sansom SN, Shikama-Dorn N, Hafen K, Macaulay IC, Deadman ME, Ponting CP, Takahama Y, Hollander GA.
-
Journal Title
European Journal of Immunology
Volume: 46
Pages: 846-856
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-