2004 Fiscal Year Annual Research Report
センサリーゲノミクスの展開と味覚の生体情報工学の基盤解析
Project/Area Number |
16108004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 啓子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10151094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 恵一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80188896)
松本 一朗 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00291328)
吉原 良浩 理化学研究所, 脳科学総合研究センター・シナプス分子機構研究チーム, チームリーダー(研究職) (20220717)
三坂 巧 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (40373196)
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Keywords | 味覚システム / トランスジェニックメダカ / ホスホリパーゼCβ2 / 味覚行動 / モデル魚 |
Research Abstract |
味覚系は動物の主要な感覚系の一つである。味物質は口腔中に存在する味細胞において受容後、そのシグナルは味神経を介して後脳に伝達され、中枢神経系での処理を受ける。近年、哺乳類の味細胞におけるシグナル伝達の分子機構の一端が明らかになった。しかし味神経以降の情報処理については、その複雑さから分子レベルでの理解は進んでいない。 近年、小型魚類が脊椎動物のモデル生物として注目されている。本研究では味覚受容から神経情報処理までの複雑な過程の分子機構解明を目的に、メダカを用いた味覚系の解析を行った。本年度は味覚分子マーカーの取得、味細胞への外来遺伝子の導入、味覚依存的行動を評価する系の構築を行った。 メダカのホスホリパーゼC(PLC-β2)をクローニングし、口腔および鰓弓の味蕾に発現することを確認した。この遺伝子周辺30kbpの領域を含むコスミドクローンを単離解析し、転写制御領域を含むと予想される5'上流域にGFPを連結したトランスジーンを構築した。メダカ初期胚にトランスジーンを注入し、GFP陽性なメダカを得た。G0世代と野生型との交配を繰り返し、現在外来遺伝子を発現するF2世代が得られている。口腔におけるGFP蛍光と内在PLC-β2の発現は組織レベルで一致していた。 メダカは小物体を摂取後、嗜好するものは嚥下し、忌避するものは吐出する。この性質を利用し、メダカの味覚行動を摂食量で評価する系の構築を試みた。デンプンと油脂を主成分とし、蛍光物質DiIおよび味物質を保持しうる人工餌を開発した。メダカ稚魚を24時間絶食後、各種の味物質を含む人工餌を与えた。摂食後、腹部のDiI蛍光を観察したところ、アミノ酸と核酸を含む餌を与えた群では蛍光強度が強く、デナトニウムを含む餌を与えた群では弱かった。すなわち本方法により、味覚依存的行動を蛍光強度により評価することが可能となった。
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Research Products
(6 results)