Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 恵一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80188896)
松本 一朗 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任准教授 (00291328)
吉原 良浩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, リーダー (20220717)
三坂 巧 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (40373196)
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Research Abstract |
味覚は,動物が適正な摂食行動を行う上で,そしてヒトが高度の食文化を形成し,近代食品産業を発展させる基盤として,きわめて重要な要因である。本年度は味の受容,伝達情報に関するゲノミクスとして,(1)モデル魚を用いた味覚システム,(2)味覚情報経路の解析を行い,以下の結果を得た。 (1)GPCR→Gタンパク質→PLCB2→TRPM5経路のうち,まず味覚バイオマーカーとして確認したPLCB2がモデル魚(ゼブラとメダカ)の味蕾に発現すること,次いでT1R系およびT2R系のGPCRおよびTRPM5がヒトや齧歯類とほぼ同様に存在し,T1R1/3,T1R2/3で各種アミノ酸を,T2Rsで苦味物質を受容することを示し,ヒトから魚類に至る脊椎動物共通に「味の嗜好,忌避」システムが存在することを示した.またPLCプロモーターに,Gタンパク質を連結したトランスジェニック(Tg)不活性型メダカを作出した。(2)T1R3プロモーターに小麦胚芽レクチンWGAを連結して発現させたトランスジェニックマウスを作出した。このマウスの味蕾,一次神経(GG,PNG,TG)および延髄孤束核(NST)におけるWGAシグナルの観察を行った。WGAmRNAおよびWGAタンパク質は,味蕾のT1R3陽性細胞にのみ発現し,他の味,苦味や酸味細胞には観察されなかった。また,鼓索神経節(GG),舌咽神経節(NPG),さらには延髄孤束核(NST)の一部の神経細胞にもWGAシグナルを観察し,甘,旨味受容に関わる味細胞一味神経一NST細胞の伝導路を解明することに成功した。
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