Research Abstract |
バーチャルスタジオにおいて,演者の手先や指示棒などの位置・姿勢をセンサや画像処理などによって獲得する場合,センサデータや画像処理の結果にはある程度の誤差が避けられない.このような誤差により,演者による仮想物体操作の際に,演者の手先や指示棒の実際の3次元位置と,システム内部に獲得された3次元位置の間に位置ずれが生じると,演者は指示したい位置を指示できず,仮想物体操作に支障を来す.また,現実空間と仮想空間を重畳した画像を生成するには,演者の撮影に利用するカメラのパラメータをキャリブレーションによって求め,そのパラメータを用いて仮想空間の画像を生成する必要があるが,このキャリブレーションにもある程度の誤差は避けられない.このような誤差によって,演者を撮影するカメラと,仮想空間の画像を生成するカメラのパラメータが一致しない場合,仮想物体を操作している演者の画像と仮想物体画像を重畳した画像を生成すると,その画像中において,演者の手や指示棒などの先が仮想物体の指示位置からずれてしまうことになる. そこで本年度は,演者による物体操作の過程を利用して,上のような誤差を適応的に補正する処理を実現した.演者による仮想物体操作では,演者は当然,仮想物体を操作する目的で自分の手や指示棒などを動かしているはずであるから,このことを文脈的知識として利用することにより,上のような誤差を適応的に補正することができると考えられる.すなわち,システムが演者から獲得した指示位置が仮想物体の位置と一致しなかったり,重畳画像中で演者の手や指示棒が仮想物体上になかった場合には,上の文脈的知識に基づいて,これが誤差によるものであると判断し,このような状況が生じないように現実空間と仮想空間の位置関係を修正することによって,誤差を補正する.
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