2004 Fiscal Year Annual Research Report
黄砂の肺毒性、アレルギー増悪、酸化的DNA傷害、内分泌撹乱の影響評価に関する研究
Project/Area Number |
16310030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
市瀬 孝道 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (50124334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定金 香里 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助手 (20322381)
吉田 成一 大分県立看護科学大学, 看護学部, 講師 (40360060)
川西 正祐 三重大学, 医学部・衛生学教室, 教授 (10025637)
高野 裕久 国立環境研究所, 病態生理研究室, 総合研究官 (60281698)
西川 雅高 国立環境研究所, 環境分析科学, 室長 (80228171)
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Keywords | 黄砂 / 肺毒性 / アレルギー / 気管支喘息 / アレルギー性鼻炎 / 酸化的DNA損傷 / 8-oxo-dG / 環境ホルモン |
Research Abstract |
1.卵白アルブミン(OVA)喘息モデルを用いて黄砂のアレルギー炎症増悪作用とそのメカニズムの解明の研究を行った。黄砂発生地から採取した人工黄砂、大気中から採取した自然黄砂、カオリン粒子、二酸化ケイ素、三酸化アルミ粒子をOVAと共に気管内投与して、喘息様病態(気管支への好酸球・リンパ球浸潤、粘液細胞の過形成、血中アレルギー抗体:lgE・lgG1)の増悪作用を調べた結果、三酸化アルミ粒子以外は全て喘息様病態を悪化させた。これらの結果から、黄砂成分の二酸化ケイ素がアレルギー増悪作用に関与している可能性を示唆した。更に、黄砂を高温加熱して、黄砂に付着している細菌、カビ菌糸体成分を除去した黄砂としない黄砂(非加熱黄砂)を比較した結果、非加熱黄砂の方が著しくアレルギー病態を悪化させた。このようなことから、黄砂に付着した微生物の毒素成分にもアレルギー反応を高める作用があることが分った。 2.黄砂の肺毒性の解明研究では、黄砂を0.05、0.10、0.2mg気管内投与して肺組織の病態やサイトカイン・ケモカインを調べた結果、黄砂に付着した微生物毒素(グラム陰性菌の内毒素、β-グルカン)量や硫酸塩含量と炎症性サイトカイン発現量や炎症細胞数(好中球)がよく対応していることが分った。この結果から黄砂に付着した微生物毒素や硫酸塩などが黄砂の肺毒性に関与していることが明かになった。 3.黄砂による肺組織中のDNA損傷を調べた結果、DNA中に酸化的DNA損傷である8-oxo-dGが増加することが分った。増加は炎症によるものか、ミネラル成分によるものかは明らかではないが、現在、肺組織のどのような部分に損傷が分布しているのか免疫染色法を用いて調べている。 4.cDNAマイクロアレイを用いて、黄砂を投与した肺組織中の遺伝子発現の検索を行った。この実験では黄砂を高温加熱して、微生物毒素成分を除去した黄砂としない黄砂を比較した。代謝、刺激、細胞増殖に対する応答に関連する遺伝子の発現が高く、熱処理前の黄砂については、特にケモカインのリガンドを主体として、炎症性分子の発現が上昇していた。
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