2004 Fiscal Year Annual Research Report
走査型近接場ラマン分光法によるメゾスコピックナノ構造の解明
Project/Area Number |
16340084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
酒井 彰 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (70136422)
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Keywords | 近接場光学 / ラマン / メゾスコピック / ナノ構造 |
Research Abstract |
巨視的な物質の構造は、単に微視的な原子配列によって決まるのではなく、中間的なメゾスコピック構造を持ち、さらにそれが結合してより大きな構造を形成して、構造の階層を持つことが多い。本研究では、新規に開発した走査プローブ法の一種である近接場ラマン分光法を用い、メゾスコピックなスケールで現れるナノ構造からの分子内振動スペクトルを直接観測し、その温度依存性と空間分布を求め、クロスオーバーの振る舞いを明らかにすることを目的とする。さらに本手法は、さまざまなタイプのメゾスコピック系(相境界領域や量子強誘電体などの短距離秩序形成)の研究に応用可能であり、物性解明に大きな新展開をもたらすことが期待される。 本研究目的のためには、メゾスコピックな性質が出現する温度領域まで、試料温度を制御することが必須である。しかし、市販の温度可変ステージでは、ナノスケールでの振動やカンチレーバーを含む光学系の設置に困難があり、新規に近接場ラマン分光測定用温度可変装置を開発する必要がある。装置に要求される性能として、真空系などからの振動が除去できていること、高い温度安定性を有し、窓材などからの光学損失が低いこと、近接場光学系が組み込めることなどが挙げられる。特に、メゾスコピック構造のクロスオーバーを解明するためには、温度依存性だけでなく、空間依存性も求める必要があり、試料の走査のためのピエゾ駆動素子も温度可変装置内に設定しなければならない。そのため、本年度は、市販の装置を改良し、既設の走査型近接場ラマン分光測定装置に組み込むことができる温度可変装置(可変温度範囲:-120〜300℃)の開発を行った。
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Research Products
(3 results)