Research Abstract |
本研究は,電気自動車に適した高性能モータの開発を目的として,ホイール一体構造でダイレクトドライブを可能にするアウターロータ型多極SRモータの開発と,これを用いた電気自動車の実証試験を,2ヵ年の予定で行なうものである。以下に平成16年度の研究内容と得られた成果を記述する。 SRモータの動特性解析手法の構築:電気自動車用多極SRモータの設計には,自動車の走行特性まで評価できるようなモータのダイナミックシミュレーションが必要である。ここでは,筆者らが提唱しているリラクタンスネットワークに基づくSRモータの動特性解析手法を構築した。これにより精度の良い特性予測が可能になった。 アウターロータ型多極SRモータの設計:この解析手法を用いて,1人乗りの小型電気自動車に適用するアウターロータ型多極SRモータの設計を行なった。極数を種々変えてトルク速度特性や出力特性を評価した結果,固定子16極-回転子20極のSRモータが適当であることが明らかになった。 多極SRモータの製作と電気自動車の策定:上記の設計結果に基づいてアウターロータ型多極SRモータの製作を行った。またこれと平行して試験用電気自動車の仕様を決定して業者に発注した。当初の研究計画では,電気自動車は次年度に購入する予定であったが,研究の進行速度を考慮して今年度中に入手することとした。 多極SRモータの駆動回路とコントローラの開発:上記の多極SRモータを駆動するための電子回路,ならびにその電子回路の制御を行なうコントローラを設計し,製作を行なった。駆動回路にはIPMを,コントローラは32ビットマイコンとFPGAによる汎用の制御ボードを活用して,小型・省スペース化を計った。 現在,製作した多極SRモータ,駆動回路,およびコントローラを小型電気自動車に取り付け,モータの回転を確認するとともにコントローラの調整を進めている。次年度初めには走行試験を実施する予定である。 以上のごとく,多極SRモータの動特性解析手法の確立,多極SRモータの設計・製作,駆動回路とコントローラの設計・製作など,平成16年度の研究目標は達成され,所期の研究成果が得られたものと考えている。 これらの研究成果は,パワーエレクトロニクスとモーションコントロール国際会議(EPE-PEMC2004),欧州合同磁気シンポジウム(JEMS2004),日本応用磁気学会学術講演会,電気関係学会東北支部連合大会で発表を行なった。
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