2005 Fiscal Year Annual Research Report
アウターロータ型多極SRモータの開発と電気自動車への応用に関する研究
Project/Area Number |
16360131
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
一ノ倉 理 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20134017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郭 海蛟 東北学院大学, 工学部, 教授 (00224353)
中村 健二 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70323061)
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Keywords | 電気自動車 / 多極SRモータ / アウターロータ / インホイールモータ / ダイレクトドライブ |
Research Abstract |
本研究は,電気自動車に適した高性能モータの開発を目的として,ホイール一体構造でダイレクトドライブを可能にするアウターロータ型多極SRモータの開発と,これを用いた電気自動車の実証試験を,2ヵ年の予定で行なったものである。平成16年度は,多極SRモータの動特性解析手法の確立,多極SRモータの設計・製作,駆動回路とコントローラの設計・製作を行った。これらの成果に基づき平成17年度は以下の事項について検討を行った。 1.車両本体の製作:市販の1人乗り小型電気自動車(ENAX-S3)をベースにして,本研究で開発したアウターロータタイプ多極SRモータを後輪に適用した電気自動車を試作した。バッテリーには高密度のリチウムイオン電池を採用した。充電は通常の商用電源が利用可能である。 2.駆動回路とコントローラの製作:上記のSRモータを駆動するための電子回路,ならびにそのコントローラを製作した。主要駆動回路とコントローラの基本設計は前年度に終えていたが,ここでは保護回路なども組み込んだ専用のプリント基板を設計・製作した。制御には汎用の32ビットマイコンとFPGAを活用した。また,モータ電流を制御するパワーデバイスも,当初のIGBTからより高速で損失の少ないパワーMOSFETに変更した。これらの駆動回路とコントローラを電気自動車に実装し,正常に動作することを確認した。 3.走行試験:試作した電気自動車の実走行試験を行った。直線ならびにカーブ,勾配においても特に問題なく走ることを確認した。平坦な直線道路では401m/h程度で楽に走行できることも確認した。 4.性能改善:走行試験の結果,発進時にモータから発する騒音がやや大きいことが分かった。この原因はSRモータに特有のトルクリプルに起因する。本研究では,ダイレクトトルクコントロール(DTC)による瞬時トルク制御を提案し,トルクリプルの低減に有効であることを明らかにした。 5.モータ最適設計法の確立:前年度に構築した磁気回路に基づくSRモータ解析手法を発展させ,鉄損も考慮できるようにした。この手法は本研究のオリジナルであり,これによりSRモータの最適設計が可能になった。 以上,本研究によりインホイール多極SRモータとこれを用いた小型電気自動車が実現された。インホイールSRモータによるダイレクトドライブ電気自動車は筆者が知る限り世界で初めてであり,本研究の所期の目的が達成されたものと考えられる。これらの研究成果は,国際磁気会議,日本応用磁気学会学術講演会,電気関係学会東北支部連合大会で発表を行なった。また別紙のようにいくつかの学術雑誌に掲載されている。
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Research Products
(6 results)