2006 Fiscal Year Annual Research Report
分娩時胎盤剥離過程でのアラキドン酸誘導体の機能解明と新規分娩誘起法の開発
Project/Area Number |
16380182
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
鎌田 八郎 National Agricultural Research Organization, 北海道農業研究センター自給飼料酪農研究チーム, 主任研究員 (70360443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 勝 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・自給飼料酪農研究チーム, チーム長 (00414748)
上田 靖子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・集約放牧研究チーム, 主任研究員 (30370604)
大下 友子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・自給飼料酪農研究チーム, 主任研究員 (40391479)
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Keywords | 胎盤由来繊維芽細胞 / アラキドン酸誘導体 / マトリックスメタロプロテアーゼ / リポキシゲナーゼ |
Research Abstract |
分娩後の胎盤剥離のモデルになると考えられる胎盤由来繊維芽細胞の実験系を用いて、胎盤剥離に関与すると推定されているマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の活性化機構の解析を行った。 前年までの検討結果から、アラキドン酸のケトン誘導体に強い細胞剥離活性が確認されたが、他のリポキシゲナーゼで誘導されるケトン異性体には同様の剥離活性が無いこと、また細胞ライセートにもMMP活性が誘導されていないことをゼラチンザイモグラフィーで確認した。さらに今年度は、他の高度不飽和脂肪酸および飽和脂肪酸の細胞剥離活性の有無を検討した。炭素数18以上の脂肪酸を調べた結果、飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸およびジ不飽和脂肪酸(ステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸)には活性がなかったものの、トリ不飽和脂肪酸の一部とテトラ不飽和脂肪酸以上の高度不飽和脂肪酸に活性の強弱はあるが細胞剥離活性がみられた。アラキドン酸の前駆体であるn-6系列の脂肪酸(γリノレン酸)だけでなく、n-3系列のエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸、さらにはステアリドン酸にも細胞剥離活性がみられたことから、2重結合が炭素原子1個を挟んで3個以上つながった構造を持つ脂肪酸が共通に持つ性質と考えられた。予備的実験でこれらの脂肪酸の2重結合の連続のなかに水酸基を持つ誘導体を添加したところ活性はみられなかった。 分娩予定一週間前の妊娠牛にプロスタグランジン(PG)を投与する実験系を用いてアラキドン酸のケトン誘導体の効果を調べた(8頭使用)。PG投与後0時間、12時間、18時間、24時間、30時間後に1.0mgのケトン誘導体を静注したが、胎盤停滞を回避できなかった。今後は、投与ドーズを上げる、あるいは他のホルモンとの併用など検討が必要と考えられた。
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Research Products
(4 results)