2007 Fiscal Year Annual Research Report
分娩時胎盤剥離過程でのアラキドン酸誘導体の機能解明と新規分娩誘起法の開発
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16380182
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
鎌田 八郎 National Agricultural Research Organization, 畜産草地研究所分子栄養研究チーム, 上席研究員 (70360443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 正斗 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター自給飼料酪農研究チーム, 上席研究員 (50450325)
村井 勝 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター自給飼料酪農研究チーム, チーム長 (00414748)
上田 靖子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター集約放牧研究チーム, 主任研究員 (30370604)
天下 友子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター自給飼料酪農研究チーム, 主任研究員 (40391479)
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Keywords | 胎盤剥離 / オキソアラキドン酸 / マトリックスメタロプロテアーゼ |
Research Abstract |
前年までの検討で見出された胎盤剥離シグナル候補物質であるオキソアラキドン酸(オキソ体)のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性化能に影響を及ぼす条件を胎盤由来繊維芽細胞を用いて検討した。これまでの検討から分娩時の胎子排出の主役となるプロスタグランジン(PG)はMMP活性化能がないことを明らかにしたが、オキソ体と同時投与したところ、PGE2はオキソ体によるMMP活性化を抑制する事が明らかとなった。一方PGF2αに同様の活性はなかった。PGE2は分娩予定の2週間から10日前から高値が続く事が知られている。生体では分娩前にオキソ体シグナルによる胎盤剥離が進行しないように、PGE2がその働きを抑制している可能性がある。過去の報告で胎盤剥離に関与している可能性を指摘されたオキシトシンおよびTNFαは本実験系ではなんら活性を示さなかった。分娩予定一週間前の妊娠牛にPGを投与する実験系を用いて、オキソ体の分娩後投与効果を調べた。前年の検討で、分娩前投与が胎盤排出に対して全く効果を示さなかったのに対し、分娩後投与したところ胎盤排出の誘導効果が観察された。次いで正常分娩、PG誘導分娩、PG+オキソ体分娩、自然発生胎盤停滞について胎盤をザイモグラフィーで比較した。その結果、proMMPの大蓄積が自然発生胎盤停滞及びPG誘導分娩の未剥離胎盤においてみられ、正常分娩、PG+オキソ体分娩の剥離胎盤においてはみられなかった。このことは胎盤が剥離されない場合はMMPの活性化が進行せずにプロエンザイムが胎盤に蓄積していること、オキソ体の添加はプロエンザイムの活性化を進め、その結果胎盤を剥離した事を示した。これらの結果はオキソ体が分娩後の胎盤剥離を担うシグナルである事を示しており、全く新しい知見である。今後、投与ドーズ、投与のタイミングなど検討を加えることにより、実用化技術にできる可能性が示された。
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Research Products
(7 results)