2004 Fiscal Year Annual Research Report
造血および神経系幹細胞におけるNotchシグナル可視化による自己複製機構解
Project/Area Number |
16390054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松崎 有未 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50338183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤本 和延 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90282350)
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Keywords | 造血幹細胞 / 神経幹細胞 / レポーター遺伝子 / Notchシグナル / Wntシグナル / トランスジェニックマウス / 自己複製能 |
Research Abstract |
-新規蛍光蛋白Venusを利用したNotchシグナルの活性化可視化技術の開発 Notchシグナルの標的遺伝子(Hes1 or Hes5)プロモーターの制御下で発光団形成時間、半減期が短く、かつ蛍光強度が強い蛍光蛋白質d4-Venusを発現するレポーター遺伝子を作成した。活性化型Notchを発現した細胞株に導入したところ、このレポーター遺伝子はNotchシグナルの活性化に応答した蛍光を発することが確認された。 -幹細胞自己増殖と細胞系譜におけるNotchシグナリングの関連 作成したレポーター遺伝子をレンチウイルスに組み込み、造血幹細胞および神経幹細胞に導入後、各種分化マーカーで染色し、神経系、血液系、双方の幹細胞におけるNotchシグナリングをモニターすることによって自己複製あるいは分化の際のNotchシグナルの意義を明らかにする。神経系ではNeurosphere法によりある程度神経幹細胞濃縮が可能であり、胎児脳より調製した幼弱神経細胞に遺伝子導入し、レポーター遺伝子を発現する細胞をフローサイトメトリーにより分離し、Neurosphere形成能を調べたところ、レポーター遺伝子発現細胞中にsphere形成細胞が有意に濃縮されていることが明らかになった。今後、幹細胞の低密度培養による細胞系譜の解析とNeurosphere法を用いた神経幹細胞の自己複製能と多分化能の解析を詳細に行うことを目的とし、現在Notchシグナルが、神経幹細胞→神経前駆細胞→幼弱なニューロン→特定のニューロンあるいはグリア、アストロサイトのどの段階に働いているのかを明確にする試みを行っている。 -Notchシグナリング可視化トランスジェニックマウスの作成 一方、Notchシグナリングの下流に位置するHes1プロモーター制御下にGFPを発現させるレポーター遺伝子を導入した変異マウスを作成し、これを用いたNotchシグナリングを可視化する試みに着手した。その結果、神経系ではNeurosphere形成細胞で強発現が見られ、神経幹細胞自己複製においてNotchシグナルが活性化していることが示唆された。その一方、造血幹細胞においてはHes1プロモーター制御によるレポーター遺伝子の発現率が極めて低く、従来の骨髄細胞採取方法では発現が見られず、コラゲナーゼ処理によって骨表面に付着した細胞を採取することによって陽性細胞が出現すること、等が明らかになった。このため現在Notchが活性化している細胞集団をソーティングし、その性状を明らかにする取り組みを行っている。またWntシグナル系下流でCyclinD1プロモーター領域に作用するLEF/TCFプロモーター領域(TOP)とLacZを用いたレポーター遺伝子を作成し、実験動物に導入しトランスジェニックマウスを作成した。現在、その発現様式をフローサイトメトリーおよび免疫組織学的に検討している。また、励起波長の異なる蛍光分子を利用することで、Shhシグナルを同時に可視化することを目的とし、そのターゲット遺伝子であるGliプロモーター下流に蛍光分子遺伝子を組み込むことによりNotch、Wnt、Shhシグナリングを同時に可視化し、幹細胞自己複製における3つの因子の関連を明らかにする試みに着手した。
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Research Products
(7 results)