2006 Fiscal Year Annual Research Report
難溶解性浮遊粒子状物質のハザードアセスメントシステムの構築
Project/Area Number |
16390176
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
田中 勇武 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (00038035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 泰夫 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (30258628)
大神 明 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教授 (40301692)
大薮 貴子 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (20320369)
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Keywords | 低濃度慢性吸入曝露 / 慢性影響 / シリコンカーバイドウイスカ / 過負荷 / 排泄遅延 / 管理濃度 / 繊維状物質 / 繊維性変化 |
Research Abstract |
本研究は、難溶解性の浮遊粒子状物質の粒子形状に着目し、有害性予測システムを確立することを目的とする。 本年度は、テスト試料として、シリコンカーバイドウィスカ(以下、SiCw)を用い、ウィスター系雄ラットに吸入曝露して、経時的に肺内滞留量及び肺内繊維形状の変化を調べると共に、病理組織学的変化について検討し、生体へ及ぼす影響について調べた。 1年間(6時間/日、5日/週)の吸入曝露(曝露濃度2.6mg/m^3、平均繊維長さ2.8μm、平均繊維径0.5μm、空気力学的平均径2.4μm)を実施し、1年間曝露終了後6日目、3ヵ月目、6ヵ月目、12ヵ月目に解剖を行い、肺内に沈着したSicw量およびその形状変化を計測し、さらに肺の病理組織学的検討を行った。 試験結果 1.ラット成長曲線(体重)及びラット生存率には、差異は認められなかった。 2.肺重量については、有意な重量増加が認められた。 3.1年間吸入曝露終了直後の肺内沈着量は5.4mgであり、沈着率は12.9%と推算された。 4.肺からのSiCw排泄速度の半減期(BHT)は16ヶ月であった。 5.肺内に滞留した繊維径は経時的な変化はなく、繊維長は、長さ20μm以上の繊維の割合が増加していることが認められた。 6.病理組織的変化では、曝露終了後1年経過した時点では、集族した繊維の周囲に線維性変化を認め、肥厚した肺胞壁の周囲にはマクロファージを中心とした炎症細胞を認めた。また、2個体で気管支肺胞過形成を認め、その中に集族した繊維を認めた。 本試験結果から肺重量の増加や排泄遅延及び過負荷によると考えられる肺の病理組織学的変化が認められたことから、低濃度曝露においても十分に注意しなければならないことが解った。この過負荷については、粒子形状が関与していると予測され、これらを考慮した有害性予測システムの提言を行う。
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Research Products
(3 results)