2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390546
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 美加子 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40271027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹重 文雄 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60206969)
岩見 行晃 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90303982)
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Keywords | 根管処置歯 / 歯根破折 / 疲労破壊 / フラクトグラフィー / ファイバーポスト / レジンコア / 接着性レジンセメント / 破壊抵抗性 |
Research Abstract |
本年度は、根管処置歯の急速破壊in vitro実験モデルを確立し、破壊力学手法に則り支台築造を行った根管処置歯の破壊強度を評価した。また、歯根破折歯の破断面にフラクトグラフィー解析(破面情報解析)の手法を適用して、歯根破折の発生と進展メカニズムを分析した。 まず、ヒト抜去小臼歯の歯冠を除去し、根管充填を行った後、圧縮破壊試験に供した。支台築造は、(1)金属製ポストとコンポジットレジンコア、(2)グラスファイバーポストとレジンコア、(3)金属鋳造ポストコアの3種類の材料を用いて行い、(4)根管処置をせず全部被覆冠の歯冠形成を行った歯をコントロールとした。全部被覆冠の有無と荷重方向をパラメーターとして圧縮試験を行った結果、全部被覆冠の有無に関わらず、垂直圧縮負荷に対しては、金属鋳造ポストコアが有意に根管処置歯を補強することがわかった。また、金属製ポストでは歯根破折がポストに沿って進展するのに対して、グラスファイバーポストとレジンコアによる支台築造のみにおいて、歯根破折がポストに沿って進展しないことが明らかとなった。全部被覆冠を装着して斜め45°の圧縮負荷を加えた場合、既製金属ポストとコンポジットレジンコアの破壊抵抗が最も低く、グラスファイバーポストとレジンコアおよび金属鋳造ポストコアによる支台築造の破壊抵抗が同等であることが明らかとなった。破壊進展を比較した場合、グラスファイバーポストとレジンコアによる支台築造歯の大部分が歯冠側1/3の破壊にとどまっており、残存歯質の保護に最も有効な修復方法であることが示唆された。 走査電子顕微鏡にてフラクトグラフィー解析を行った結果、急速破壊は象牙細管の方向に沿って進展することが示された。歯根部では歯髄側で象牙細管の走行が明瞭であったものが、歯根表面に向かうに従って象牙細管の走行が不明瞭になる像が観察された。これは、歯髄側では破壊が緩徐に進むため象牙細管の走行が破折進展方向を規定したのに対して、歯根表面に向かうに従って破折進展速度が増加し、荷重方向が破折進展方向を決定づけたためと考えられる。
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Research Products
(3 results)