2005 Fiscal Year Annual Research Report
継続的な運動がストレス性高血圧に及ぼす影響とその脳内機構
Project/Area Number |
16500441
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
丹 信介 山口大学, 教育学部, 教授 (00179920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 涼子 山口大学, 教育学部, 助教授 (50271078)
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Keywords | 運動 / ストレス / 高血圧 / ラット |
Research Abstract |
本研究では、慢性ストレスにより誘発されると考えられるストレス性高血圧に対する継続的な自発走運動の影響とその脳内機序について検討を試みた。実験には、ストレス性高血圧のモデル動物と考えられる10週齢の雄の境界型高血圧ラットを用いた。無線式テレメトリーシステムにより無麻酔、無拘束の状態で血圧を測定するために、まず血圧測定用の送信機を埋め込む手術を行い、その手術からの回復後(1〜2週間)、慢性ストレス群(S群、n=5)、慢性ストレス+回転車輪を用いた自発走運動群(S+Ex群、n=3)、対照群(ストレス、自発走運動なし:C群、n=1)の3群に分けた。S群とS+Ex群には、1日2.5時間、週5日の頻度で、拘束+水浸ストレスを8週間負荷した。C群、S群、S+Ex群ともに、血圧は、実験期間を通じて明期に低く、暗期に高いという日内変動を示した。また、S群の平均血圧は、実験開始時(0週目)に比べて、4、5週目で高くなる傾向を示したが、8週目では0週目と差が見られなくなった(0週目:明期106±7、暗期114±9、4、5週目:明期112±7、暗期119±6、8週目:明期108±3、暗期115±3mmHg)。一方、S+Ex群では、実験期間を通じてそのような変化は認められなかった(0週目:明期113±4、暗期123±6、4、5週目:明期112±4、暗期123±2、8週目:明期109±1、暗期120±3mmHg)。この結果は、継続的な運動によりストレス性高血圧が抑制される可能性を示唆するかもしれない。しかし、S群の平均血圧の変化は、必ずしも大きくなく、かつ一時的なものであり、この点に関しては、今後さらに検討する必要があると考えられる。また、このようなことから、本研究では、S群やS+Ex群の視床下部への薬物投与により、ストレス性高血圧に影響を及ぼす脳内機序の検討を行う実験は行うことができなかった。
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