2004 Fiscal Year Annual Research Report
半導体上への強力薄膜磁石合成によるマイクロ磁気デバイスの開発
Project/Area Number |
16510098
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
安達 信泰 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (90262956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大里 齊 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (20024333)
五味 学 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (80126276)
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Keywords | 薄膜磁石 / 希土類 / マイクロマシン / RFスパッタ / 熱処理結晶化 / シリコン / 保持力 / ハード磁性 |
Research Abstract |
我々は、結晶粒をc-軸配向させるために有利な直接結晶化法ではなく、結晶粒成長を制御しやすいポスト熱処理法とスパッタ法を組み合わせて、軟磁性アモルファス蒸着膜を650℃での熱処理でc-軸配向させる手法で、ボンド磁石を上回る特性を持つハード磁性薄膜合成にすでに成功している。さらに、赤外線照射による熱処理の代わりにナノ秒オーダーの紫外線パルスレーザー照射によってでも、瞬時に配向結晶化できることを見出している。本研究では、マイクロマシン(MEMS)分野における磁石の磁気特性のニーズとして、リソグラフィー技術の応用できるSi半導体基板上への高性能薄膜磁石を合成しすることを目的とした。実験はこれまでの成膜条件を基本に基板をこれまで使用していたMo基板の他に、溶融石英基板やSi(111)基板を同時に成膜し、特性の比較を行った。薄膜磁石の成膜時には、ターゲットの表面酸化状態も敏感に膜の磁気特性に影響を与えるために、Mo基板上の薄膜との比較が不可欠である。まず、通常のNd-Fe-Bターゲットを用いた直接蒸着では、Mo基板と同様にSiO2基板は問題なく成膜できたが、Si基板の場合は密着性が悪く、熱処理とともに膜が剥離した。SiO2がアモルファスで熱膨張係数も小さいことが、支障なく成膜できたことが考えられる反面、Si(111)単結晶は、大きな格子定数のミスマッチと熱膨張係数の違いが濡れ性の悪かった原因として考えられる。そこで、基板と膜との間に緩衝層として、モリブデンとシリコンの化合物であるMoSi2を選択し、濡れ性の改善を試みた。石英基板を用いた場合には、MoSi2を蒸着したあとに製膜した試料は、熱処理をすると剥離しやすくなったことから濡れ性が悪くなった反面、Si上に製膜した試料は、一部で表面モルフォロジーに凹凸ができたものの平坦で光沢のある膜が保たれ、濡れ性が改善され、また、1.5 Teslaを超える大きな保持力を示し、半導体基板上に合成した膜としては、初めて高特性を持つ薄膜磁石の結晶化に成功した。
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