2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16510141
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
森 正壽 近畿大学, 産業理工学部, 教授 (50159191)
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Keywords | 地理情報システム(GIS) / 自然災害 / リモートセンシング / 防災 / 土砂災害 |
Research Abstract |
平成15年7月20日未明、九州中北部地方は猛烈な集中豪雨に襲われ、熊本県水俣市においては宝川集地区で発生した大規模土石流により、19人もの犠牲者が発生した。さらに、福岡市博多駅周辺では、御笠川の氾濫による広範囲な洪水災害が発生し、地下鉄の運行停止、地下商店街の水没により多大の被害を被っている。本研究は、集中豪雨等の被害解析において、新しい手法として3次元GIS(地理情報システム)を使用し、3次元的に解析しようとするものである。その背景の一つとして、最近開発された10mメッシュ数値標高情報(10mDEM)の開発がある。今回10mDEMを使用し3次元GISシステムを構築し、災害の再現、解析を行った。 本年度は特に、福岡市博多駅周辺における御笠川氾濫による広範囲な洪水災害の解析を行った。御笠川氾濫については、氾濫地域の解析を行うため、10mDEM及び福岡市が作成している建物データベースを取得し、冠水した博多駅周辺の再現を行った。建物データベースは、本来2次元の利用状況データであるが、本研究ではこれを3次元化し、GIS上に統合することができた。このデータを基にして氾濫時の状況を再現するため、時系列的に冠水レベルが変化する状況に応じて、浸水領域を再現することができた。また同時に、状況の把握のため、御笠川周辺の現地調査を行った。調査の結果では、御笠川護岸のため、一時的に土手にブロックが設置されているが、目視判読の結果では必ずしも十分ではなかった。現在福岡市では本格的な御笠川護岸工事を計画しているが、種々の問題がありまだ着手されていない。 また最終的な位置情報収集のためのGPSシステムの調整がほぼ完成した。これは2周波を利用した、RTK方式によるGPS観測で精度約2cmを達成している。このシステムにより今後、御笠川周辺の絶対測量を実施する予定である。
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