2005 Fiscal Year Annual Research Report
中世末の南インドにおけるキリスト教とヒンドゥー教の交流についての文献学的研究
Project/Area Number |
16520042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 博司 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (20230427)
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Keywords | キリスト教 / ベスキ / カトリック / マドゥライ・ミッション / タミルナードゥ / 南インド / イエズス会 / タミル文学 |
Research Abstract |
本研究は、インド近代の黎明を控えてのインドにおけるヨーロッパ系キリスト教宣教師の貢献を、彼らの「文化適応・文化受肉(inculturation)」という手法を軸に検討し査定・評価しようとするものである。考察の中心には南インドのイエズス会マドゥライ・ミッションを据え、彼らのタミル文学における事績を辿ることで明らかにしようとする試みである。 テーマがかなりの程度局限されていることもあり、研究資料の蓄積は日本に期待できず、当のインドでも散逸したり保存状態や利用の便が劣悪のため、欧米の研究機関や図書館・文書館に依存せざるを得ない。従来はイタリア、ドイツ、米国等で関連する資料の収集に努めてきたが、今回はアジアにも資料収集と専門家との意見交換・情報交換の場を増やし、カトリックのアジア宣教関係の知見を拡大することができた。 本年度は、前年度に読解を開始したイタリヤ出身のイエズス会士であるジュゼッペ・ベスキの文学作品について、それらの背景を調べるとともに、宣教史上に適切に位置づけ、歴史的背景を念頭に入れた深い読解を進め得た。 さらに、バラモン化による宣教の道を模索したロベルト・デ・ノビリとは異なる、パンダーラ・スワーミとしてのベスキの宣教方法と文学活動の繋がりを探究する方向でも研究を進捗させてきた。成果の一端は昨年春の国際学会である国際宗教学宗教史会議(於高輪プリンスホテル)で口頭発表し、報告要旨も公開されている。 今後は、データベース化を念頭に入れつつ資料の一層の収集と分析に努め、近代の曙の時期に位置した宣教師たちの歴史的意義と文化的意義を探りつつ、諸作品の詳細な読解と分析とを進展させるつもりである。
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Research Products
(2 results)
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[Book] ヒンドゥー教の事典2005
Author(s)
山下博司, 橋本泰元, 宮本久義
Total Pages
xiv+414
Publisher
東京堂出版
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より