2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520204
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
埋田 重夫 静岡大学, 人文学部, 教授 (20223604)
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Keywords | 白居易 / 中唐文学 / 閑適詩 / 独善 / 吏隠 / 身心 / 自足 / 詩想 |
Research Abstract |
平成16年度は白居易閑適文学研究の集大成を図り、併せて唐代閑適文学研究への足掛かりを構築することに専念した。そうした2つの研究目的を効果的に実行していくために、おおよそ以下の研究ステップを踏んだ。 前者に関する研究の基本スタンスは、自分が今までに発表してきた白居易閑適文学関係論文をより有機的に関係づけ、従前の研究史を踏まえてそれらをさらに肉付けして体系化していくものである。当方が設定した白居易閑適文学の柱には【身体と姿勢】【衰老と疾病】【住居と家族】などがあるが、平成16年度は【住居と家族】のテーマを専一に取り上げて、この分野について従前から学会発表してきた複数の論文のまとめを図ることに力を注いだ。 白居易の家屋表現についての連作論文5篇の最終部分となる「白居易における洛陽履道里邸の意義」は、平成15年度12月に刊行したが、今年度はこれに続く新たな論考として「香凶寺と白氏文集-閑適の完成」を設定し、論文執筆のための資料収集とそれらの読み込みに集中した。また白居易と家屋表現についての諸論考のなかで指摘した詩材(松竹)と心象(閑適詩想)の問題に関係して、「白居易における松と竹」(仮題)との題目での論文執筆にも精力的に取り組んだ。上記2篇の論文は、平成17年度に発表する予定となっている。 後者の研究状況については、『全唐文新編』22巻をはじめとする大型唐代基本図書史料の確保、布目潮〓『中国史論集」(漢代史篇・唐代史篇・中国茶史篇)全2巻などに代表される唐代研究書の購入に留意した。またこうした図書文献の充実に併行させて、デスクトップ型パソコン・中文OS・中文ソフトといったパソコン環境の整備、電子資料の購入活用を積極的に進めていくことにも注意を払った一年であった。次年度も基本的には同じ方針をとりながら、収集したこれらの資料を有効に活用して具体的な研究成果(唐代閑適文学研究論文の出版)があげられるように最大限の努力をしていきたいと思う。
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