2005 Fiscal Year Annual Research Report
河川漁業と生態環境との関連-鵜飼等の標泊的移動行為と生態環境との対応を中心に-
Project/Area Number |
16520500
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
伊東 久之 岐阜大学, 教育学部, 教授 (10126724)
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Keywords | 鵜飼 / 河川漁業 / 採集狩猟 / 飼育 / 生業 / 漂泊 |
Research Abstract |
本年度は(1)野外聞き取り調査として、福岡県筑後川の鵜使い三名、山梨県石和川の鵜使い一名、岐阜県長良川の鵜匠三名から調査をおこなった。また、(2)過去の文献類を検索し、平塚市発行の『相模川流域調査報告書』などを収集した。さらに、(3)長良川鵜飼の史料発掘をおこない、山下純司家文書などを整理した。 (1)では、筑後川の鵜飼は日田市ほか三ヵ所とも、戦後しばらくまでは福岡県浮羽郡田主丸町(現久留米市)の鵜使いが玄界灘で捕獲した鵜を使用していたことが判明した。さらに、その鵜匠の話から、長良川鵜飼に供給していた時期もあることが分かった。この点は(3)の資料の中に当人からの年賀状が発見され、また長良川鵜匠の家に九州型の鵜篭が現存することも確認できた。 (2)では、かつて相模川流域に十カ所以上の小規模な鵜飼がおこなわれていたこと、それらの鵜は静岡市、東京都大田区羽田、茨城県多賀郡十王町の三ヵ所から供給されていたこと、さらに冬の越年については鵜の供給先への冬季寄託(里子)がおこなわれていたことを確認できた。 (3)では、長良川の鵜が大正から昭和初期にかけては、愛知県知多半島の師崎・篠島方面(愛知県知多郡南知多町)、愛知県渥美半島の伊良湖(愛知県渥美郡渥美町)、さらには、福井県三方郡美浜町旧耳村などから購入していたことを示す送り状を発見した。 以上をふまえ、これらの成果を平成17年10月に東京大学で開催された日本民俗学会年会で口頭発表した。
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Research Products
(1 results)