2004 Fiscal Year Annual Research Report
学術研究活動のボーダレス化と大学システムの構造変動
Project/Area Number |
16530539
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 毅 筑波大学, 大学院・ビジネス科学研究科, 講師 (10233800)
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Keywords | 学術研究活動 / 知識基盤社会 |
Research Abstract |
本研究における中心的課題である「学術研究活動のボーダレス化」という変化の原動力となっているのが、知識社会の到来である。今年度は、この変化が学術研究活動のボーダレス化におよぼす影響について、過去に実施した調査データの再分析を行った。分析結果の概要は以下の通りである。 <知識社会における大学教員> 「知識社会を支える知識労働者の生産性を高めるうえで鍵となるのが、仕事への集中であり、成果に貢献しない雑事の排除である」といわれている(Drucker,1993)。しかしながら現実には、すでに過大な負担となっている管理運営業務あるいは高度化する知識基盤を維持発展させるための業務はますます重い負担となりつつある。同時に、社会から求められる地域貢献や大衆化した学生への教育において求められるサービスは、現在の大学教員の専門的能力から乖離し二次的なものとなりつつある。皮肉なことに、知識社会化に伴って、専門性を活かした仕事への没頭が困難となる。こうして、大学教員を守ってきた城壁(ボーダー)は、ますます脆弱化が進むことになろう。知識労働者にとっての仕事の場が大学の外部に拡がる(ボーダレス化する)とすれば、大学は人材流出の危機を迎えることになる。 なお成果の一部について、広島大学高等教育研究センターでの研究員集会にて研究報告(知識社会における大学教員)を行った。
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