2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子の観察と力学特性計測に適した原子間力超音波顕微技術の開発
Project/Area Number |
16560058
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
村岡 幹夫 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (50190872)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 栄樹 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (80177188)
|
Keywords | 原子間力超音波顕微鏡 / DNA分子 / 遺伝子診断チップ / 付着力 / シリコン探針 / 集中質量型カンチレバー / シアフォース制御 / 高感度化技術 |
Research Abstract |
蛋白質やDNAなどの生体分子の形状を観察し、さらに剛性等の力学特性を計測できる原子間力超音波顕微鏡技術の開発を目的とする本研究の17年度における成果は以下のとおりである。 1.遺伝子診断チップにおけるDNA分子の定着性は、診断チップの信頼性の観点から極めて重要である。診断チップでは通常樹脂等の表面粗さを持つ基板が利用されるため、原子間力顕微鏡では基板上のDNA分子を直接観察することはできない。平成16年度では、液中環境にある基板上DNA分子を対象に、原子間力顕微鏡を用いて付着力に注目しDNA分子の観察法を考案した。本年度では、液中ではなく大気中において基板上DNA分子の観察法について検討した。大気中観察ができれば、その簡便さのために、チップ評価、特にDNA分子定着量の評価効率を飛躍的に高めることができる。探針の材質としてシリコン、窒化珪素、金の三種類を用いて、DNA分子の大気中における付着力を計測した結果、シリコン探針が最も付着力が大きいことがわかった。また、樹脂とDNA分子の付着力の相違においても、シリコン探針の場合が最も大きいことが明らかとなった。さらに、ポリカーボネイド製のDNAチップに対して、シリコン探針により付着力マッピングを行った結果、表面粗さに埋もれていたDNA分子の二次元的な形態を、大気中にて観察することができた。 2.金細線より作製した棒状集中質量を用いた集中質量型カンチレバーを使用して、シアフォース制御の水中観察法を提案した。集中質量の慣性により、2次モードでは集中質量の並進運動が抑えられ、集中質量重心まわりの回転運動が顕著になる。これにより探針は試料表面を擦るような周期運動するため、シアフォース制御が可能になる。これは、十分な回転慣性によって水中においても加振が容易となる。また、シアフォース制御はダメージが少ないため軟らかい生体の観察に適している。
|
Research Products
(4 results)