2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580005
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
力石 和英 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (90220798)
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Keywords | コムギ / 穂発芽 / 種子休眠 / 突然変異体 / ABA |
Research Abstract |
本研究課題では、コムギの種子休眠および穂発芽に関する突然変異体を解析し、穂発芽の発生に関わる要因を遺伝学的に解剖することを目的として、以下の研究を行った。 1.種子休眠性低下突然変異系統(RSD)の特性評価 (1)F_2分析:野生型である農林61号とRSD系統間で交配を行い、開花後40日(DAP40)のF_2系統(F_3種子)における全粒種子の発芽率を調査した。農林61号(発芽率:低)xRSD32(発芽率:高)のF_2集団における全粒発芽率の分布をみてみると、二つのピークが認められた。発芽率の低いグループ(79系統)と高いグループ(30系統)に含まれる系統数は分離比3:1に適合したことから、RSD32は劣性の1遺伝子の変異により生じた突然変異であると考えられた。他の系統に関してはF_2集団が明瞭な分離を示さなかった。 (2)ABAとオーキシンの相互作用:DAP40の半切種子をABAと同時にオーキシンで処理した場合、農林61号ではABA単独で処理した場合に比べて発芽率が低くなった。オーキシンは単独では発芽に対して阻害的に作用しなかったことから、オーキシンの効果はABAの発芽阻害効果を高めることによるものと考えられた。一方で、RSD32ではオーキシンの効果は認められなかったので、RSD32系統ではABAとオーキシンの相互作用に関わる要因が変異したものと考えられた。 (3)幼植物におけるABA感受性:幼植物における根の伸長に及ぼすABAの影響を調査した。農林61号と突然変異系統(RSD14-1,16-1,32)共にABAにより根の伸長が阻害され、両者の間に差は認められなかった。また、幼植物におけるABA応答性遺伝子の発現に関しても差が認められなかったことから、これらRSD系統における変異は種子特異的変異である可能性が考えられた。 2.穂発芽突然変異系統(EPS)の育成 昨年選抜した穂発芽突然変異系統を圃場で育成し、世代促進および種子増殖を行っている。
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