2004 Fiscal Year Annual Research Report
レクチンの癌細胞アポトーシス誘導活性と癌特異的反応への応用の研究
Project/Area Number |
16580091
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊勢村 護 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (40028197)
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Keywords | レクチン / 癌細胞 / アポトーシス / ブタ血漿 / インターロイキン / クロカワ / ヤドリギ / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
複合糖質の糖鎖と結合するタンパク質(抗体を除く)として定義されるレクチンは、豆科植物や穀類を始めとして動植物、微生物にひろく分布し、赤血球凝集活性、細胞分裂促進活性、細胞毒性など多様な活性をもっている。申請者らは、ブタ血漿固定化ゲルを用いるアフィニティークロマトグラフィーによる新規の安価なレクチン調製法を開発した。本研究では、この方法で種々のレクチンを多量に調製し、アポトーシス誘導活性やラットを用いた生体への影響を調べ、癌細胞アポトーシス誘導メカニズムや癌特異的検索ツールとして用いられる可能性を明らかにすることを目的としている。 食用キノコであるクロカワより分離したレクチンは、ヒト白血病U937細胞に対してアポトーシス誘導活性を示し、そのメカニズムとして、Bcl-2の遺伝子発現の低下、ミトコンドリア膜の不安定化に伴う透過性の上昇、シトクロームcの細胞質への遊離、細胞周期進行阻害剤であるP21/Waf1の発現上昇などと共にG2/M細胞周期停止を引き起こすことが明らかになった。一方、日本産ヤドリギから分離したヤドリギレクチンはヨーロッパ産のものとはアミノ酸配列が異なるが、アポトーシス誘導活性は同様にもつことがわかった。 ウドから単離したウドレクチンにはヒト腸癌Caco-2細胞のIL-8発現を促進させる作用があるが、ワサビレクチンにはこの活性がないことがわかった。ラットにビオチン標識赤インゲンマメレクチン(PHA)を経口投与し、1日後に摘出した腸を分析した結果、PHAが腸に結合したことが明らかになった。このとき、腸や肝におけるIL-1βの遺伝子発現の上昇がみられた。従って、レクチンは生体免疫系に影響を与えると考えられる。
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Research Products
(3 results)