2004 Fiscal Year Annual Research Report
卵丘細胞によるウシ未成熟卵母細胞の卵細胞質成熟促進に関する研究
Project/Area Number |
16580228
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 雅保 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10243073)
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Keywords | ウシ未成熟卵母細胞 / 卵細胞質成熟 / レチノイン酸 / ミッドカイン / 卵丘細胞 / アポトーシス / 体外成熟培養 / アンチセンスオリゴヌクレオチド |
Research Abstract |
ウシ卵丘細胞付着卵母細胞(CEO)の体外成熟培養(IVM)期間に、CEOを卵胞液成分であるミッドカイン(MK)で処理すると、その卵母細胞の受精後の胚盤胞期への発生(卵細胞質成熟)が促進されること、およびその卵丘細胞のアポトーシスが抑制されることを明らかにしている。MKはレチノイン酸(RA)応答産物であることから、RAがウシCEOに対してMKと同様の効果をもつことが推察される。そこで本研究では、ウシCEOのIVMにおける卵細胞質成熟と卵丘細胞のアポトーシスにおよぼすRAの効果について検討した。 ウシCEOの卵細胞質成熟におよぼすRAの効果について検討した。IVM期間にRA処理することによって、CEOの成熟・受精後の胚盤胞への発生が無処理対照区に比べて有意に促進された(0nM:18%,1000nM:37%)。また、IVM開始後18時間以降に検出される卵丘細胞のDNA断片化が、RA(10〜500nM)によって抑制された。次に、RAの卵丘細胞に対する効果が、卵丘細胞内で合成されるMKを介して発揮されるのかについて検討した。先ず、IVM開始時および24時間後のCEOの卵丘細胞におけるMK mRNAの発現をRT-PCRを用いて測定した。その結果、RA(500nM)処理によってMK mRNAの発現が増強されることがわかった。次に、RA処理CEOをMKアンチセンスオリゴヌクレオチド(20μM)でIVM期間中処理したところ、卵丘細胞におけるMK mRNAの発現およびRAのアポトーシス抑制効果が阻害された。しかし、MKセンスオリゴヌクレオチド(20μM)にはそのような阻害効果はなかった。従って、MK自身にアポトーシス抑制作用があることから、RAのアポトーシス抑制効果は、少なくともRAによって卵丘細胞での合成が高められたMKを介して発揮されることが示唆される。
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Research Products
(2 results)