2005 Fiscal Year Annual Research Report
卵丘細胞によるウシ未成熟卵母細胞の卵細胞質成熟促進に関する研究
Project/Area Number |
16580228
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山田 雅保 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10243073)
|
Keywords | ウシ / 卵丘細胞付着卵母細胞 / ミッドカイン / レチノイン酸 / カルニチン / 卵細胞質成熟 / アポトーシス / 体外成熟培養 |
Research Abstract |
ウシ卵丘細胞付着卵母細胞(CEO)の体外成熟培養(IVM)において、ヘパリン結合性成長因子であるミッドカイン(MK)は卵細胞質成熟を促進し、さらにMKはレチノイン酸(retinoic acid, RA)応答産物であることが明らかにされている。本研究では、ウシCEOのIVMにおける卵細胞質成熟と卵丘細胞のアポトーシスにおよぼすMKとRAの効果を明らかにすると共に、アポトーシス抑制効果をもつカルニチンの影響を検討した。IVM期間に起こる卵丘細胞のアポトーシスをLigation-Mediated PCR(LM-PCR)法で経時的に検討した結果、IVM開始後18時間にアポトーシスが検出され、24時間においてその程度がより顕著になった。しかし、MK(200ng/ml)あるいはRA(10nM〜1μM)をIVM培地へ添加することによって、卵丘細胞のアポトーシス抑制と、卵細胞質成熟の促進が観察された。続いて、RAの卵丘細胞に対する効果が、卵丘細胞で合成される内因性MKを介して発揮されるのかどうかを、MKアンチセンスオリゴヌクレオチド(MK-ASODN)による卵丘細胞内でのMK mRNA合成の抑制によって検討した。RA処理CEOのIVM期間にMK-ASODNを添加すると、RAのMK mRNAの発現促進効果が抑制され、さらに、RAによる卵丘細胞のアポトーシス抑制作用も阻害された。以上の結果から、RAのアポトーシス抑制効果は、少なくともRAによって卵丘細胞での合成が高められた内因性MKのアポトーシス抑制効果を介して発揮されることが示唆された。次に、卵丘細胞および卵母細胞において、カルニチントランスポーターが発現していることから、IVM培地にカルニチンを添加した結果、活性型ミトコンドリアの卵母細胞表層から卵細胞質内部への移動が起こると、および、卵母細胞の細胞質成熟が促進されることが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)