2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管反応性および受容体分布からみた脳の発達および進化過程の解明
Project/Area Number |
16580242
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宮本 篤 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70219806)
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Keywords | 脳血管 / 血管反応性 / 受容体 / 鳥類 / 魚類 |
Research Abstract |
これまで哺乳類のウシ、ブタ、ウマの脳血管を用いて、血管作動物質(ノルアドレナリン、アセチルコリン、ヒスタミン、セロトニン)に対する反応を検討し、同じ哺乳類でもその反応性は異なり、その原因として受容体分布に違いがあることを明らかにしてきた。また、血管内皮細胞の関与の有無が、反応の違いの大きな要因と考えられた。この観点から、今回、爬虫類から進化したと考えられている鳥類および最も原始的な脊椎動物である魚類の脳血管を摘出し、マイクロマグヌス管にセットして血管作動物質に対する血管反応性を検討した。 (1)鳥類としてニワトリを用いた。摘出脳血管は、ノルアドレナリンに対し低用量で弱い弛緩反応を高用量では用量依存性の収縮反応を起こした。アセチルコリンはこの収縮した脳血管を用量依存性に弛緩した。上記の反応は、哺乳類の中ではウマと類似していた。 (2)ヒスタミンに対しては、静止張力でも弱い弛緩反応がみられたが、収縮下ではよりはっきり用量依存性の弛緩反応がみられた。セロトニンに対しては用量依存性に収縮した。セロトニン反応は哺乳類の反応と同様であったが、ヒスタミン反応は上記の哺乳類では見られない特有のものであった。 (3)魚類としてコイまたはアジを用いた。コイでは、ノルアドレナリンもアセチルコリンも摘出脳血管を収縮させた。魚では摘出大動脈(アジ)で、ノルアドレナリンに対して弛緩反応をアセチルコリンに対して収縮反応を示し、哺乳類とは全く逆の反応を示すのを考えると、脳血管反応は、大動脈と異なり特異な役割を持つことが推察された。 以上、鳥特有のヒスタミンに対する血管反応、魚特有のノルアドレナリンとアセチルコリン共に収縮反応を示すことなど、哺乳類には見られない種特異的な血管反応が明らかとなった。
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