2004 Fiscal Year Annual Research Report
エリスロポイエチンと骨髄細胞移植を用いた急性心筋梗塞への血管新生治療-抗アポトーシス効果による心筋リモデリング抑制機構-
Project/Area Number |
16590706
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
辰巳 哲也 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (20254328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 弘明 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (10239072)
小原 幸 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (80275198)
計良 夏哉 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (50267829)
白石 淳 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (10372848)
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Keywords | 血管新生治療 / エリスロポイエチン / 急性心筋梗塞 / 骨髄細胞移植 / 心機能 |
Research Abstract |
マウス胎仔由来培養心筋細胞を用いた高グルコース下の7時間低酸素刺激でHoe33258及びdesmin二重染色にて評価した心筋細胞のアポトーシスが有意に誘導された。エリスロポイエチン(EPO:0.5 or 10U/ml)は心筋細胞のcell survival pathwayの一つであるPI3/Akt pathwayを活性化し、有意に抗アポトーシス作用を示した。またエリスロポイエチン(3000unit/kg)はマウスの左冠動脈前下行枝を結紮した急性心筋梗塞モデルにおいて梗塞境界域の心筋細胞のアポトーシスを有意に抑制し、梗塞サイズの縮小と心機能の改善作用をもたらした。 申請者らの大動物実験(Circulation 2001;104:1046,ATVB 2002;22:1804)の成績やEPOの抗心筋アポトーシス作用の基礎研究成績を背景に、急性心筋梗塞症例への骨髄あるいは末梢血単核球細胞の冠動脈内注入による血管新生治療を検証する多施設臨床試験を開始した。急性心筋梗塞では発症早期(3〜7日)に血漿中のVEGF、G-CSF、EPOなどの血管新生因子や造血系サイトカインが増加していた。我々はまずST上昇型の左冠動脈前下行枝閉塞による急性心筋梗塞で発症24時間以内に経皮的冠動脈形成術を施行され、TIMI分類IIIの開通に成功した症例を対象に、末梢血単核球細胞(7〜8x10^9個)を梗塞発症5日以内に責任冠動脈より経カテーテル的に移植した。移植によるCKの上昇、催不整脈作用などの副作用は認めなかった。PCI単独治療群では急性期に比較して6ヶ月後の左室駆出率が5.6%の増加に留まったのに対して、末梢血単核球細胞移植群では6ヶ月後の左室駆出率が12.9%増加した。我々は今後、骨髄単核球細胞移植群を行うとともにEPOを併用することでさらに心機能の改善がみられることを検証していく予定である。
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