2005 Fiscal Year Annual Research Report
エリスロポイエチンと骨髄細胞移植を用いた急性心筋梗塞への血管新生治療
Project/Area Number |
16590706
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
辰巳 哲也 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (20254328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 弘明 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (10239072)
小原 幸 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (80275198)
計良 夏哉 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (50267829)
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Keywords | 血管新生治療 / エリスロポイエチン / 急性心筋梗塞 / 骨髄細胞移植 / 心機能 |
Research Abstract |
急性心筋梗塞患者を対象とした多施設臨床試験による血管再生医療の実施 申請者らによる大動物実験の成績やエリスロポイエチン(EPO)の抗心筋アポトーシス作用の基礎研究成績を背景に急性心筋梗塞症例への骨髄あるいは末梢血単核球の冠動脈内注入による心筋保護効果を臨床的に検証した。1)対象はST上昇型の左冠動脈前下行枝閉塞による急性心筋梗塞で発症24時間以内に経皮的冠動脈形成術を施行され、TIMI分類IIIの開通に成功した症例である。2)細胞移植はバルーンカテーテルを狭窄部位末梢に留置し、低圧にて拡張し末梢血単核球をカテ先より3ml、3分間かけて3回注入した。症例を末梢血細胞移植群、PCI単独群に分け、評価項目として移植後6カ月後の心機能をLVG、MRI、心エコーで評価した。移植細胞のFACS解析ではCD34またはCD34/KDR-positive cellが健常人に比し多い傾向がみられ、またこれらの細胞はacLDL/Lectine-positiveなEPCを含んでいた。Primary Endpointである左室駆出率(EF)は6ヶ月間でコントロール群では48.8%から56.3%に増加し、細胞移植群では43.8%から57.2%に増加した。ゆえにΔEFはコントロール群で7.4%、細胞移植群で13.4%と移植群で有意に増加した。両群ともEnd-diastolic volume index(EDVI)に有意な変化はみられなかったが、End-systolic volume index(ESVI)は有意に低下した。梗塞域の局所壁運動(Regional EF)は両群とも有意に増加したが、ΔRegional EFは細胞移植群でやや増加する傾向がみらた。細胞移植による心エコーでのwall motion score index(WMSI)は低下し、ホルター心電図での不整脈の増悪はなく、心筋血流シンチでのdefect scoreは有意に低下した。心機能(ΔEF)に及ぼす急性期のbaseline EF、peak CK、再灌流時間、移植細胞数についての影響を検討したが、細胞移植の治療効果は早期に再灌流され急性期の心機能が低下した症例で大きいことが示された。症例の集積に時間がかかり、今後骨髄単核球細胞移植、さらにEPOを併用することの心筋保護効果を検討していきたいと考えている。
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