2004 Fiscal Year Annual Research Report
自殺と自殺企画の精神医学的研究:大都市・精神科救急医療施設における自殺企図者の精神病理学および生物学的背景、危険因子の研究
Project/Area Number |
16591152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
河西 千秋 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (50315769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平安 良雄 横浜市立大学, 医学部, 教授 (70244324)
山田 朋樹 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00315813)
加藤 大慈 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70363819)
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Keywords | 自殺 / 自殺企画 / 危険因子 / 精神疾患 / うつ病 / 統合失調症 / 遺伝子多型 / セロトニン・トランスポーター |
Research Abstract |
平成16年度は、自殺企図により横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター・高度救命救急センターに搬送され、精神医療センターを受診した患者112名(男性39名、平均年齢38.8歳;女性73名、平均年齢32.9歳)を対象に研究を行った。患者の心理・社会的背景、臨床データを収集するとともに過去の自殺企図の有無と内容、今回の自殺企図についても詳細に調査した。また、構造化面接を行い精神医学診断を確定した。さらに精神症状・人格傾向については、抑うつ症状、衝動性、攻撃性を、標準化されたスケールを用いてそれぞれ評価した。これらの患者データはデータ・ベース化した。自殺企図者の年齢構成を見ると、男性企図者の方が女性企図者よりより高い年齢構成に偏り、また中高年の男性企図者でより致死的な手段を選ぶ傾向が認められた。精神医学診断は、うつ病を含む気分障害が30.4%と最多で、統合失調症が14.3%で次に多かった。自殺企図の手段がより致死的な群では、気分障害の割合が自殺企図者全体より高かった。これらの結果は、2004年の第10回欧州自殺・自殺行動学会、第100回日本精神神経学会総会等で発表するとともに、「精神医学」誌、「治療」誌などに発表した。本研究では、自殺企図の生物学的背景の探索も行われるが、2004年度は、59名の患者で、書面による同意に基づき末梢静脈採血を行い、ゲノムを抽出した。現在、セロトニン・トランスポーター遺伝子の遺伝子多型の解析を行い、遺伝子型の頻度を調べている。これまでのところ、有意な所見は得られていないが、来年度以降は、さらに自殺企図時の心理・精神病理、自殺企図者の人格傾向、精神疾患などの相互の関連性について解析を行い、また、ゲノム解析については、対象とする遺伝子を拡げて臨床データとの間の関連研究をすすめたい。
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Research Products
(7 results)