2006 Fiscal Year Annual Research Report
自殺企図者の精神医学的研究:自殺企図の精神病理および生物学的背景、危険因子の研究
Project/Area Number |
16591152
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
河西 千秋 横浜市立大学, 医学研究科, 準教授 (50315769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平安 良雄 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70244324)
山田 朋樹 横浜市立大学, 附属病院, 助手 (00315813)
加藤 大慈 横浜市立大学, 附属病院, 助手 (70363819)
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Keywords | 自殺 / 自殺企図 / 危険因子 / 遺伝子多型 / 行動医学 / セロトニン・トランスポーター |
Research Abstract |
平成18年度は、自殺企図により横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター・高度救命救急センターに搬送され、精神医療センターを受診した患者320名(2003年より累積;男性126名、女性194名)を対象に研究を行った。患者の心理・社会的背景、臨床データを収集するとともに過去の自殺企図の有無と内容、今回の自殺企図についても詳細に調査した。また、構造化面接を行い精神医学診断を確定した。さらに精神症状・人格傾向については、抑うつ症状、衝動性、攻撃性を、標準化されたスケールを用いてそれぞれ評価した。自殺企図者の年齢構成を見ると、精神医学診断は、95%が診断可能で、81%がDSM-IV・I軸診断を有し、その内訳はうつ病を含む気分障害が24%と最多で、適応障害が18%、精神病性障害が17%と続いた。自殺企図手段で激烈な方法を選択したものは有意に年齢が高く、単身生活が有意に多かった。 遺伝子多型解析は、平成17年度よりさらに対象者数を増やし92名の対象者と、あらたに112名の健常対象群の協力を得て解析を行った。5-HTT・LPR多型については遺伝子型(χ2検定、P=0.423)、アレル頻度(χ2検定、P=0.202)の分布に自殺企図群と健常対照群との間に有意差は認められなかった。5-HTT・VNTR多型では、10型アレルを含む遺伝子型の頻度が自殺企図群では少ない傾向にあった(χ2検定、P=0.067)。自殺企図群の中で、性別、自殺企図歴の有無、企図手段の致死性により群間の比較検討を行ったが、5-HTTLPR多型、VNTR多型の双方に関して、それぞれの群間で有意差は認められなかった。 来年度以降はさらに対象を増やして解析を進め、あらたにDRD2、TPH2、COMTなどの遺伝子をターゲットに解析を行い、対象者の背景データ・臨床データとの関連性を検討する予定である。
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Research Products
(7 results)