2007 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存の形成・維持・再発の脳内神経学的機序と新規治療の開発に関する研究
Project/Area Number |
16591166
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
宮田 久嗣 Jikei University School of Medicine, 医学部, 准教授 (70239416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 聖名子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30277032)
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Keywords | ニコチン / ドパミンD3受容体部分刺激薬 / 条件刺激 / 脳内自己刺激実験 / 脳内報酬系 / 内側前脳束 / ラット |
Research Abstract |
[目的]薬物の報酬効果と結びっいた環境刺激は、薬物の摂取欲求を惹起することから、薬物依存の形成、維持、再発に重要な役割を果たしているが、その機序は明らかではない。本研究課題では、タバコに含まれるニコチン(NCT)に注目し、NCTに条件づけられた環境刺激は(1)NCTに代わって脳内報酬系を刺激し、(2)NCTの探索行動を維持させることを明らかにした。4年度目の本年度は、薬物依存の新規治療薬として、NCTと環境刺激の連合を阻止し、環境刺激による薬物摂取欲求の惹起を抑制する薬物を検討した。 [方法]オペラント実験事態で、内側前脳束の脳内自己刺激(ICSS)行動を形成させたラットに、NCT(0.4mg/kg、皮下投与)と環境刺激(凹凸の床と黒色の壁)の条件づけを行った。そして、条件づけ訓練の30分前に、ドパミンD3受容体部分刺激薬であるBP8970.1mg/kgと溶媒を腹腔内投与した。テストでは、NCTと連合した環境刺激(条件刺激)と、連合していない新規刺激(平坦な床と白色の壁)提示下でのICSS閾値を求めた。BP897の用量はICSS閾値に影響しない用量とした。 [結果]NCTと環境刺激の条件づけ訓練前に溶媒を投与した群では、新規刺激と比較して条件刺激提示下で、ICSS閾値は低下する傾向があったが、BP8970.1mg/kgを前処置した群では、新規刺激と条件刺激の間で差はなかった。 [結論]BP897の0.1mg/kgをNCTによる条件づけ訓練の前に投与した場合、対照群と比較して、NCTに条件づけられた環境刺激(条件刺激)による報酬系刺激効果は消失した。このことから、BP897は条件づけによって環境刺激がNCTの報酬効果を獲得するプロセスを阻害することが示された。すなわち、D3受容体部分刺激薬であるBP897は、条件刺激によるNCT摂取欲求の惹起を阻止する治療薬の候補となる可能性が考えられた。
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Research Products
(5 results)