2004 Fiscal Year Annual Research Report
PETによる脳内ムスカリン神経受容体の定量測定とアルツハイマー病への臨床応用
Project/Area Number |
16591239
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Research Institution | Research institute for Brain and Blood Vesseis Akita |
Principal Investigator |
三浦 修一 秋田県立脳血管研究センター(研究局), 放射線医学研究部, 研究部長 (10370256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下瀬川 惠久 秋田県立脳血管研究センター(研究局), 放射線医学研究部, 主任研究員 (30370258)
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Keywords | PET / ムスカリン神経受容体 / コンパートメントモデル / NMPB / アルツハイマー |
Research Abstract |
[対象とPET測定]健常志願者10名およびアルツハイマー病患者2名に対して脳内ムスカリン神経受容体の標識薬剤であるN-メチル3-ピペリジルベンジレート([^<11>C]3NMPB)を用いたPET測定を行った。測定は[^<11>C]3NMPBを静脈投与し、直後から約90分間の動態画像を得た。また、健常志願者のうち6名については動脈採血し、全血と血漿の放射能濃度を測定した。 [解析方法]各脳組織に関心領域を設定し、時間-放射能濃度曲線を得た。これらから各脳組織のムスカリン受容体結合能をそれぞれ以下の方法で求めた。1、3-コンパートメントモデルを使った最小二乗曲線近似を行い、速度定数から算出、2、小脳の放射能濃度を間接的な入力関数とする最小二乗曲線近似から算出、3、小脳に対する各脳組織の放射能集積比から算出。 [結果]健常成人では、大脳基底核、帯状回、後頭葉、側頭葉、前頭葉、頭頂葉、視床、中脳、小脳の順位に高値であった。1と2の解析結果で培検脳における受容体濃度と得られた結合能との回帰直線は、y=0.037x+0.294、相関係数は、r^2=0.932であり、有意の相関を示した。3の結果では基底核以外はスキャン時間内に特異的結合がほぼ平衡に達した。静注後60〜80分の小脳に対する各脳組織の放射能濃度比とコンパートメント解析による結合能との関係を求めた。両者の相関係数は、r^2=9.978であり、有意の相関を認めた。 [考察][^<11>C]3NMPBによって測定された標識薬剤-受容体結合能は、in vitroでのムスカリン神経受容体密度と良く相関し、in vivoでの脳内ムスカリン神経受容体の評価が可能であった。また、コンパートメント解析と簡便法には良い相関があり、PETの1回撮像により、結合能の評価が可能であろうと考えられた。今後、アルツハイマー病との比較検討が期待される。
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