2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591454
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高見 俊宏 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20305626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大畑 建治 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (70194264)
露口 尚弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50295705)
足立 善昭 金沢工業大学, 先端電子技術応用研究所, 助手 (80308585)
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Keywords | 脊髄損傷 / 神経回路 / 機能回復 / 細胞移植 / シュワン細胞 |
Research Abstract |
【研究設定】損傷脊髄の機能回復過程における神経回路形成プロセスを基礎研究レベルで明らかとすることを目的として、ラット急性脊髄損傷モデルを用いて以下の実験を計画した。自然回復および培養シュワン細胞移植治療の2群において、脊髄機能を多角的かつ経時的に客観評価を行う。自然回復群では局所髄液循環障害(外傷性脊髄軟化症モデル)を負荷した群も作製し、その機能回復過程について検討した。脊髄機能の客観評価方法として、下肢運動機能、上肢下肢協調運動試験、熱過敏試験、感覚誘発脳磁場測定、核医学による脳および脊髄糖代謝測定等を準備・施行した。組織学的解析では、微量神経トレーサー注入法、免疫組織化学法、微細形態観察にて神経回路の定量・定性評価を準備・施行した。平成16年度では、主に自然回復群について検討を行った。自然回復群では通常の髄外損傷をコントロール群とし、局所髄液循環障害を負荷した群(外傷性脊髄軟化症モデル)と合わせた2群で検討した。【研究成果】脊髄損傷急性期に局所髄液循環障害を伴うことは、損傷局所の空洞形成を助長し脊髄軟化現象を引き起こすことが明瞭となった。この現象は、これまでの研究結果から示唆されている脊髄癒着による脊髄空洞症形成メカニズムと同様であり、損傷急性期の局所髄液循環の重要性が改めて理解された。しかし、その一方で運動機能、協調運動および熱過敏試験においては実験2群間で有意な差を認めなかった。神経トレーサー実験では、両群ともに皮質脊髄路の損傷近位部での損傷像が明瞭に観察され、機能回復試験の結果との相関が示唆された。ラット脊髄測定用にポジトロンエミッショントモグラフィーおよび脳磁図を調整し、平成17年度に培養シュワン細胞移植治療群も合わせて検討を行う予定。
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