2004 Fiscal Year Annual Research Report
侵襲下代謝動態を調節する腸管グルカゴンプロセッシングの制御
Project/Area Number |
16659495
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丹正 勝久 日本大学, 医学部, 教授 (10130551)
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Keywords | 腸管グルカゴン / ゲル濾過 / エネルギー代謝 / 生体侵襲 |
Research Abstract |
目的 外傷症例、急性腹症症例の過大侵襲症例を対象として、侵襲下の腸管におけるグルカゴンプロセッシングの様式を検討し、腸管栄養素とされるグルタミンがこの腸管プロセッシングの変化に及ぼす影響について検討する。 対象症例、方法 APACHE II score 12点以上の生体侵襲度の強い、外傷、急性復症症例を対象とした。緊急手術後2日目より経管的に腸内にグルタミンを投与する群、非投与の群の2グループに無作為に割り付けを行った。2日目、7日目に採血を行い、グルカゴン関連ペプタイドの測定を行うとともに、ゲル濾過法にてその分子型の検索を行い、その溶出パターンからグルカゴンプロセッシングの様式を検討した。以上の結果を両群で比較した。 結果と現在までの考察 現在までに投与群3例、非投与群4例について検討した。グルタミン投与群では、全例、通常のグルカゴン溶出パターンとは異なり、分子量8000の、特異なグリセンチン類似ペプタイド(研究者はGLLPと命名)の出現を認め、通常とは異なる特異なプロセッシングが進行することが推察された。このプロセッシングはその溶出パターンから腸管におけるプロセッシングであることは明確である。これに対し、非投与群では3例にGLLPを認めたが、1例で認めなかった。過去の検討から、このGLLPを産生する特異な腸管グルカゴンプロセッシングは、恐らく生体の侵襲に対するエネルギー代謝適応現象と推察され、この適応現象は腸管に強い虚血その他の傷害を生じると、障害されるものと推察される。グルタミン投与を行うと、この適応現象(GLLP産生プロセッシング)が障害されることなくスムーズに進行する可能性が推察されるが、症例数が未だ僅少であり今後、検討を続行する。
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