2004 Fiscal Year Annual Research Report
大豆による甲状腺ホルモン作用修飾についての栄養生理学的研究
Project/Area Number |
16700519
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
池田 尚子 昭和女子大学, 生活科学部, 講師 (40338546)
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Keywords | ヨード欠乏 / 大豆 / 甲状腺 / ラット |
Research Abstract |
甲状腺肥大因子の原因は主にヨード欠乏であるが、実際は過剰でも甲状腺は肥大する。また、抗甲状腺物質によってもヨード欠乏は助長される。抗甲状腺物質は、十字科植物であるキャベツなどや豆類の大豆などがある。これまでの研究で、ヨード欠乏の条件下でラットに過剰の大豆含有飼料を与えると甲状腺濾胞上皮細胞の肥大、過形成が生じるが、この飼料にヨードを添加すると、全く甲状腺の肥大は起きないことが明らかにされている。しかしながら、ヨード欠乏の条件下での大豆による甲状腺肥大のメカニズムは、まだ完全に解明されているわけではない。本研究はそのメカニズムの解明を目的とし、ヨード欠乏の条件下において大豆中のどの成分が甲状腺を肥大させるのか、甲状腺の代謝に腸内細菌のβ-グルコシダーゼが関与することを考慮し、食品中に存在するイソフラボンを配糖体のかたちでラットに投与し、ヨード欠乏条件下で大豆イソフラボン類には甲状腺を肥大させるか否かを検討した。群構成は、(1)ヨード欠乏単独群、(2)ヨード欠乏+大豆イソフラボンアグリコン群、(3)ヨード欠乏+大豆イソフラボン配糖体群、(4)ヨード欠乏+大豆群、(5)大豆単独群、(6)対照群の計6群とした。6週間の飼育後、採血・屠殺・剖検・臓器重量測定し、生化学的検査および病理組織学的検査を行った。その結果、これまでの研究と同様に、ヨード欠乏の条件下でラットに過剰の大豆含有飼料を与えると甲状腺の肥大、過形成が生じることが確かめられた。また、ヨード欠乏+大豆群の下垂体の免疫組織学的検査では、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、プロラクチン(PRL)、成長ホルモン(GH)の有意な増加が認められた。このことからヨード欠乏の条件下では、大豆はTSHだけでなく、PRLやGHの分泌を促していることが分かった。現在、大豆イソフラボンアグリコン群と大豆イソフラボン配糖体群の生化学的検査および病理組織学的検査を行っている。
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