2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体パターン形成原理の実験的ならびに数理解析的解明
Project/Area Number |
16GS0307
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 滋 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10252503)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 浩一 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系初期発生研究部門, 助教授 (70195048)
宮澤 清太 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10377905)
|
Keywords | コンピュータシュミレーション / システム生物学 / 動物形態 / 形態形成 / 反応拡散系 / チューリング / パターン形成 |
Research Abstract |
1)ゼブラフィッシュの模様形成遺伝子の探索 ゼブラフィッシュの皮膚模様も自発的に成立する等間隔パターンである。同じ分子メカニズムが働いている可能性があると考え、模様形成遺伝子のクローニングを行った。これまでに、模様形成に関係する2つの遺伝子のポジショナルクローニングに成功している。 Obelix変異は、縞の幅が広くなる変異を示す。原因遺伝子はKir7.1というKチャンネル分子であった。この遺伝子は色素細胞でのみ発現しており、また、変異体の遺伝子はKの透過性を失っていることがわかった。縞が斑点に変わる変異遺伝子レオパードのクローニングも行ったが、これはGAP JUNCTION関連の遺伝子をコードしていた。現在これら2つの遺伝子の変異がどのような機構で模様を替えているのか計算機によるモデル化を行っている。 2)反応拡散の原理が、色素パターン以外にも働いていることを示す研究 反応拡散原理は、本来動物の形態形成の原理として提唱された。しかし、形態形成現象においては、皮膚の模様と異なり、パターンの変化が観察できないので、証明が難しく、研究しやすい現象が無かった。反応拡散系が働いている可能性がもっとも高い生物パターンとしては、2次元のストライプ状のパターンが考えられる。さらに分岐の状態に一定レベルのランダムネスがあれば、可能性はさらに高くなるといえる。以上のような考えに基づき、昆虫類の羽の脈をしらべた。ほとんどすべての昆虫の翅脈は左右対称であり、ランダムネスを示さないが、半翅目のハゴロモ類の支脈は、いわゆるチューリングパターンと瓜二つのランダムネスを持った迷路模様であることを確認した。さらに、地域変種で脈の本数が変わるが、それぞれ大きさが異なるために、脈の間隔自体は普遍であることがわかった。このハゴロモ類が形態形成現象に反応拡散が働いていることは確実と判断し、今後脈形成の分子生物学的な解析を進めていく方針を固めた。
|
Research Products
(2 results)