2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体パターン形成原理の実験的ならびに数理解析的解明
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16GS0307
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 滋 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (10252503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 浩一 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系初期発生研究部門, 助教授 (70195048)
宮澤 清太 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (10377905)
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Keywords | コンピューターシミュレーション / システム生物学 / 動物形態 / 形態形成 / 反応拡散系 / チューリング / パターン形成 |
Research Abstract |
1)インビボでのストライプパターンを形成するための色素細胞間相互作用 レーザーを使って一部の色素細胞を消去し、再生の過程を観察することで、色素細胞間の相互作用には大きく分けて近距離での相手側の色素細胞の生存を抑制する効果、遠距離で黄色色素細胞が黒色色素細胞の生存、分化を促進する効果の2種類が存在すると推定されていた。特に、黄色細胞の遠距離効果が、黒色色素細胞の生存に必須と考えていたが、詳しく調べた結果、黄色の遠距離効果は「黒色色素細胞が高密度で存在するために必要」であることがわかった。このように解釈することで黄色色素細胞のない変異株で黒色色素細胞が存在できる理由が説明できる。 2)色素細胞の移動 これまでは細胞の移動については意識しないでモデル化を行っていたが、より精密なシミュレーションを行うために、それぞれの色素細胞がどのような方向性を持って移動するのかを詳細に調べた。結論を述べると、黒、黄色色素細胞ともに、色素細胞のいない間隙があると、ブラウン運動的な無方向性の移動をすることがわかった。また、各細胞は接近していると互いに遠ざかろうとし、そのための情報交換は近距離で行われているらしい。黒色色素細胞をタンリして培養状態で観察すると、互いに接近しては仮足を接触させ、再び離れていく様子が観察できる。この接触による反発効果は、パターン形成に重要なものと考え、Caセンサー等での反応の同定を試みている。 3)遺伝子導入による模様遺伝子の働きの解明 2つの模様変異遺伝子をクローニング(leopard, jaguar)したが、いまだにこれらがどのような原理で模様変異を起こすのかは判っていない。これらの遺伝子の野生型、変異型を特定の色素細胞に発現させ、どのような変化が模様に起きるかを調べる実験を遂行中である。現在これらのチャンネル遺伝子を異所的に発現させても魚を殺さないプロモータの選定を行っている。
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Research Products
(4 results)