2016 Fiscal Year Annual Research Report
地球と火星の比較に基づく惑星電磁気圏環境に固有磁場強度が与える影響に関する研究
Project/Area Number |
16H02229
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関 華奈子 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (20345854)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 祐輔 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (80342616)
寺田 直樹 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70470060)
小川 泰信 国立極地研究所, 国際北極環境研究センター, 准教授 (00362210)
桂華 邦裕 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 特任助教 (10719454)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 超高層物理学 / 惑星大気進化 / 宇宙空間プラズマ / 宇宙科学 / 惑星探査 / 火星 |
Outline of Annual Research Achievements |
惑星周辺の宇宙環境(電磁気圏環境)は、その惑星の持つ固有磁場の強さによって大きく異なる。固有磁場を持たず太陽風と大気が直接相互作用する火星においては、太陽風による大気流出が表層環境の進化を左右し得ることが、過去の研究から示唆されている。しかし、現在の地球の研究に基づく私たちの知識では、固有磁場強度が変化したときに、電磁気圏環境や大気流出量がどのように変化するのかを予測できる段階には達していない。地球型惑星からの大気流出の理解に不可欠な惑星電磁気圏環境の基本的な性質には、物質輸送とダイナミクス、環電流およびプラズマ圏の形成、大気流出機構の3つがある。本研究の目的は、この3つの基本的性質に焦点をしぼり、地球で実績のある数値実験と観測データの比較解析手法を最新の火星探査データに応用することで、地球と火星の比較に基づいて、地球型惑星の電磁気圏環境に固有磁場強度が与える影響を解明することにある。 研究計画初年度である平成28年度には、観測との比較による数値モデルの改良に着手するため、主に数値実験に携わるポスドク研究員の雇用を開始するとともに、研究遂行の要となる惑星電磁気圏環境研究専用モデリング・解析計算機システム一式を導入した。具体的な研究内容としては、まず平均的な太陽風条件下で、火星周辺電磁気圏環境の多成分グローバル数値シミュレーションを実行し、今後、固有磁場強度を変化させられるよう調整を行った。並行して、惑星大気起源イオンの輸送に着目した、太陽風応答の観測データ解析(Van Allen Probes等のデータを用いた地球内部磁気圏データ解析、MAVEN衛星のデータを用いた火星探査機データ解析)を進め、火星周辺境界層の構造に残留磁化が大きく依存し惑星起源イオンの流出にも影響を与えることなどが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本計画で初年度に予定していた、ポスドク研究員の雇用、専用クラスター計算機導入、MAVEN火星探査機のデータ解析環境の整備と着手、ジオスペース探査衛星あらせの打ち上げ成功と通常観測開始など、ほぼ当初の計画通り進んでいるため、「おおむね順調に進展している」を選択した。ただし、年度末に成果発表と海外の研究協力者との打合せを予定していた国際会議の開催時期が2ヶ月間ほど遅れて5月に変更になったため、その分に想定していた旅費を繰越する必要が生じたが、2ヶ月の時期の遅れは今後の研究計画に大きな支障はないと判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、現在の地球と火星における最新の観測と数値実験結果を比較することで物理機構の理解を深め、観測を定性的に記述可能な数値モデルを開発する。次に開発したモデルを用いて固有磁場強度を変えた場合の数値実験を行い、固有磁場強度が惑星電磁気圏環境の基本的性質に与える影響を明らかにすることを目指している。 研究計画2年次は、初年度に引き続き、火星の多成分MHDグローバルシミュレーションを出発点に、シミュレーション結果を、火星探査機MAVENの大気流出観測と比較することで、モデルの現象記述性を確かめるとともに、必要な改良を加える予定である。特に光電子の効果の組み込みについて、検討を行うことでモデルを改良したい。このモデル改良と平行して、火星にグローバルな弱い固有磁場が存在した場合の数値シミュレーションを行い、固有磁場が大気流出や惑星周辺の宇宙環境に与える影響を調べる。 また、地球における大気流出機構を理解するため、EISCATレーダーとERG衛星のコンジャンクション観測提案を行い、観測結果の解析を進める計画である。また、これと平行して、EISCATデータの統計解析を進め、イオンアップフロー現象の太陽風条件依存性を調べたい。また、固有磁場を持つ惑星の特徴である、環電流、プラズマ圏の地球パラメータ下での数値モデリングおよびERG等の観測データとの比較を行った後、固有磁場強度を変えた 場合の計算を開始する。これらを通して、本計画前半の達成目標である観測との比較による数値モデルの改良と太陽風応答の理解に向けた研究を推進する。
|
Research Products
(24 results)
-
[Journal Article] Global distribution and parameter dependences of gravity wave activity in the Martian upper thermosphere derived from MAVEN/NGIMS observations2017
Author(s)
Terada N., F. Leblanc, H. Nakagawa, A. S. Medvedev, E. Yigit, T. Kuroda, T. Hara, S. L. England, H. Fujiwara, K. Terada, K. Seki, P. R. Mahaffy, M. Elrod, M. Benna, J. Grebowsky, and B. M. Jakosky
-
Journal Title
Journal of Geophysical Research Space Physics
Volume: 122
Pages: 2374-2397
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Dawn-dusk difference of periodic oxygen EUV dayglow variations at Venus observed by Hisaki2017
Author(s)
Masunaga, K., K Seki, N. Terada, F. Tsuchiya, T. Kimura, K. Yoshioka, G. Murakami, A. Yamazaki, C. Tao, F. Leblanc, and I. Yoshika
-
Journal Title
Icarus
Volume: 292
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] MAVEN observations on a hemispheric asymmetry of precipitating ions toward the Martian upper atmosphere according to the upstream solar wind electric field2017
Author(s)
Hara, T., J. G. Luhmann, F. Leblanc, K. Seki, S. M. Curry, D. A. Brain, J. S. Halekas, Y. Harada, J. P. Mcfadden, R. Livi, G. A. DiBraccio, J. E. P. Connerney, and B. M. Jakosky
-
Journal Title
J. Geophys. Res
Volume: 122
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] MAVEN observations of a giant ionospheric flux rope near Mars resulting from interaction between the crustal and interplanetary draped magnetic fields2016
Author(s)
Hara, T., D. A. Brain, D. L. Mitchell, J. G. Luhmann, K. Seki, H. Hasegawa, J. P. McFadden, J. S. Halekas, J. R. Espley, Y. Harada, R. Livi, G. A. DiBraccio, J. E. P. Connerney, C. Mazelle, L. Andersson, and B. M. Jakosky
-
Journal Title
J. Geophys. Res
Volume: 121
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-